平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告221. 平成20年度研究活動の計画 水素エンジンバス運行に向けて、ナンバープレートを取得できる水素エンジンバスを製作することを目的とする。その為に、市販のバスを水素エンジン化するために必要な最小限の改造、即ちエンジン及び燃料装置のみを改造することにより水素エンジンバスを製作する。また、搭載する水素エンジン及び水素燃料装置は既存技術で構成し、その際に必要な技術的課題を解決することにより、高い信頼性並びに耐久性を確保する。2. 水素エンジンの概要 バスに搭載する水素エンジンには、水素を低圧まで使用でき、且つ技術的にも比較的容易な予混合火花点火方式を採用した。しかし、予混合水素エンジンには逆火および出力低下の問題点がある。前者は、突発的に大きな破裂音がすることから、水素エンジンバス運行に対して絶対に起こしてはならない現象である。また後者は、混合気中に含まれる水素の体積が大きく、その分吸入空気量が減少するためであり、その対策の一つとして過給技術の応用が挙げられるが、その際にノッキングや過早着火の発生により限界が現れる。ここでは、予混合水素エンジンの開発を通して行った、以上の逆火対策および出力向上策について報告する。3. 供試機関及び実験方法 供試機関には、ベース車両に搭載されている日野自動車製直噴式4気筒過給ディーゼルエンジン(ボアφ112mm、ストローク120mm)をベースエンジンとして使用し、水素エンジンに改造した。主な改造点および変更点は、(1)ディーゼル用噴射ノズルの廃止、および点火栓の装着。(2)�吸気マニホールドに天然ガス用インジェクタとスロットルバルブの追加。(3)�ピストンの燃焼室形状、容積の変更により圧縮比を18から11に変更。である。 図1に実験系統図を示す。試験条件は水温80℃、吸気温度45℃、排出NOx濃度は2009年度ポスト新長期排ガス規制値をクリアするため、全ての試験条件において10ppm以下とした。水素は最大20MPaボンベから減圧して噴射弁に0.4MPaで供給し、その流量は、燃料流量計で測定した。吸入空気量は層流型空気流量計により、排ガス中のNOxは、自動車用排ガス分析計により測定した。シリンダ内圧力は、グロープラグ型ピエゾ式圧力センサー(以下:ピエゾ)により4番気筒で測定した。4. 実験結果4.1 水素エンジンとベースエンジンの出力比較 本水素エンジンでは、NOx低減対策として、また逆火対策としても効果があることから、全ての運転領域において空気過剰率2程度の希薄燃焼を行い、そのNOx排出濃度が10ppm以下となるようにして出力性能を測定した。図2に前述の改造を施した水素エンジンの出力性能を、図3にその時の過給圧力および体積効率(ηv)を示す。また、図中にはベースエンジンの出力性能、および水素エンジンの水素エンジンバス運行のための技術的課題解決武蔵工業大学 工学部 准教授 瀧口 雅章■教育研究部会 活動報告 研究小委員会図1 実験系統図

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