平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告37・ 熱分析: 合成CNTのダイナミックTGにより水分およびアモルファスカーボン量を見積もることができた結果、廃タイヤの抽出油を炭素源としたCNT以外は80%以上の純度であった。特に、アルコールを炭素源として合成したCNTのダイナミックTGは、市販の高純度単層CNT(SWNT)のそれと類似で、SWNTが主成分であることが判明した。・ CNTの分散: CNT合成時に使用した触媒や触媒担体の除去ならびにCNTに付着する不純物カーボン類を除去し高純度化することは、合成CNTの高品質化の上で極めて重要な技術である。酸化ガス雰囲気下での燃焼および数段階の化学薬品処理により、合成CNT上の炭素系不純物や使用した触媒および担体も除去され合成CNTの純度の向上を達成できた。それらCNTを用い、化学修飾を施すことにより水溶液および非水溶媒に分散させ、超遠心分離機を用い分級することにより分散液を調製することに成功した。これにより、所望の基板担体上に均一にCNT展開することが可能となった。・ 酸素のカソード分極特性:(a)電流—電位特性:熱分解CVD法および気相触媒流動法によるpristine電極系の酸素カソード還元特性の測定において、試験したどの電極系も、−0.2〜−0.4V ( vs Ag/AgCl ) の電位領域に、通常、導電材や結着剤を用いた場合には見られない明瞭かつ鋭い酸素還元ピークを示し、CNT自身が酸素還元触媒能を有することがわかる。CNT(エチレン系炭化水素)/CP電極は、最もカソード側に還元ピーク電流を示し、その値も比較的大きい。各電極系とも、電流値はCNTのフォレスト密度と化学的状態の影響を大きく受ける。それらの制御がより容易に行い得るCNT分散液を活用したCNT/フィルター電極系の測定結果は試験電極の中で最も大きな酸素還元ピーク電流を示し、次に示す酸素還元特性低下の原因となる過酸化水素の電気化学的還元ピークは出現しなかった。(b)ダイナミックインピーダンス特性と過酸化水素の分極挙動:酸素還元反応の中間体として生成される過酸化水素に対する試験極の分解能力はカソード極性能を特徴づける重要な因子である。配向性CNT型pristine電極上における過酸化水素の電気化学的還元は、−0.8〜−0.9 V 電位領域を中心におこるが、どの試験電極系においても観測されるピーク電流値は理論的に考えられる値よりも小さく、ピーク電位もアノードシフトした好ましい分極特性を示す(この傾向は、ガス処理によるCNTの化学修飾によりより顕著になる)。特に、CNT/CP電極では、−0.6V領域に小さなhump 状の電流が見られるのみであり、高純度化CNT/フィルター電極では全く観測されない。さらに、酸素還元ピーク電位よりより卑なカソード電位領域においても界面微分容量値は減少するのみで、過酸化水素生成反応過程に伴う界面微分容量増加は全く見られない。酸素還元の on set potentialまでの容量値も大きく、酸素保持能力の高い過酸化水素分解活性の高い電極であることを示すもので、電極高性能化の一指針が得られた。ちなみに、これら二つの電極以外の系は逆の挙動を示し、界面微分容量は分極に伴い増加し続けるのみでその容量値も小さい。(c)複素インピーダンス特性:反応の動特性を把握するため、所定電位における界面複素インピーダンスを検討した。酸素分子の吸着容量、酸素の有限長の拡散インピーダンス等の速度論的パラメータは、各試験CNT電極の酸素還元活性と矛盾せず、電極系を特徴付けることができた。・ 水素の電気化学吸蔵・放出反応特性: �配向性CNT(エチレン系炭化水素)およびCNT(廃タイヤ抽出油)電極を中心に検討した。(a)水素の電気化学的吸蔵・放出挙動:どの試験CNT電極においても、−0.8V付近に、水素の電気化学的チャージ量に対応する明瞭かつ鋭い水素のアノード酸化ピーク電流を観測することができた。垂直配向型CNT電極へ水素のチャージ電気量(Qc)に対するアノードピーク電気量(Qa)の割合は、アノード分極時の電位走査速度により異な

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