平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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2は じ め に 平成19年2月21日に、室蘭市において北海道開発局、室蘭地域水素利用タウン研究会が主催して「水素エネルギーを利用した環境と交通シンポジウム」が開催され、武蔵工業大学中村英夫学長の基調講演が行われました。さらに、同年9月8日には室蘭市で「地域再生フォーラムin室蘭」(主催:室蘭工業大学・小樽商科大学、協力:武蔵工業大学、後援:文部科学省・内閣府・国土交通省・北海道・室蘭市・小樽市)が開催され、水素利用技術による地域再生の可能性が議論されました。これら2つのイベントによって、武蔵工業大学及び室蘭工業大学間での連携の機運が生じることになりました。さらに、都内で唯一の原子炉を有し原子力産業に従事する人材育成に貢献している武蔵工業大学が、原子力人材育成に乗り出した室蘭工業大学に全面的に協力することになりました。その結果、平成19年12月両大学間で包括連携協定が締結され、公式に交流がスタートしました。同時に、地域貢献として、水素燃料バスの開発と試験走行という形で室蘭水素モデルタウン構想へ協力することにもなりました。北海道胆振地方は、室蘭、苫小牧ともに製鐵を中心とした重工業が主産業です。このため、産業構造の転換に伴い地域社会を支える新たな産業創出が求められています。この点が、上述した「地域再生フォーラムin室蘭」の目的であり、水素利用技術及び原子力安全技術を有する両大学が連携して教育研究により、地元企業への技術移転、技術相談、産学共同研究、人材育成などの面で地域再生に貢献をめざす理由です。 このような武蔵工業大学、室蘭工業大学、室蘭市の間における連携状況の下に、地域振興の核となる大学の構築を目指して、今回の文部科学省の戦略的大学連携支援事業に応募した次第です。この支援事業はまさに両大学が目指している「大学の地域社会への貢献」に合致したものであり、両大学が抱える課題を相互に補完し合って、地域貢献を目指します。同時に、日本の大学卒業生に対して、社会が持つ不信感、すなわち「学士力の不足」に対しても、私立大学と国立大学という全く経営母体の異なる学校法人が大学運営に関して、互いに学び合って、その解決をめざす大学改革の一助としている点も特筆すべきことと自負しています。 今年度の事業は、関係各位のご尽力、ご支援のおかげで第一年度を終えました。本年度は、立ち上げの年であり、申請書作成段階からの担当者間における論議の経験と結果を踏まえて、連携組織を立ち上げ、教育・研究の交流プログラムをスタートさせました。そして、職員の交流を実施するとともに、ウィンターセミナーを開催しました。また、契機となった水素燃料バスの試走等々に関しても、多くの連携成果を上げることができたと考えています。今年度の連携実績及び成果につきましては、次ページ以降に報告する次第です。 平成21年度は、これら教育研究プログラムの着実な遂行に努めるとともに、水素燃料エンジンバスを実際に室蘭市で走行させて″水素エネルギー利用のすばらしさ″を市民に実感していただきたいと思っています。また、大学運営交流の一環として、一層の職員交流を行います。さらに、両大学間の大学院特別推薦入試の実施やクラブ活動などでの学生間交流も実施します。 これまで関係各位のご支援、ご尽力に謝意を表すとともに、次年度も本支援事業を鋭意推進して、なお一層の変革と社会貢献に努めていく所存です。武蔵工業大学 工学部長 片田 敏行

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