平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告39 本研究グループでは水素の製造技術および貯蔵技術に関する研究を実施した。本年度の実施した研究課題と研究担当者を以下に示し、次に研究テーマごとの研究成果を報告する。・研究課題:軽量水素吸蔵合金の開発 斎藤 英之(材料物性工学科)・研究課題:廃アルミニウムと水からの新規水素製造技術の開発 杉岡 正敏(応用化学科)、神田 康晴(応用化学科)研究成果報告:軽量水素吸蔵合金の開発斎藤 英之(材料物性工学科)研究の目的: マグネシウムは比重が1.74と小さく、7.6 mass%もの水素を溶解して水素化物(MgH2)を作るため、軽量水素吸蔵合金の基合金として期待されている。しかしながら、水素との反応速度が遅く、また高温でのみ水素と反応するため、水素吸蔵温度の低下と表面反応速度の向上が求められている。マグネシウムの水素化速度を向上させる方法としては、表面改質を施すことが考えられる。本研究では分子状水素を原子状に解離する触媒効果が高いと考えられているNiをMgあるいはMg-Mg2Ni二元系合金にコーティングすることを考え、これにより水素化速度を向上させることを考えた。コーティングの方法としては、従来から行われている湿式めっき法がまず考えられるが、この方法では水素化速度の改善効果は報告されておらず、効果がないものと見なせる。そこで、本研究では、粉末に手軽にNiコーティングできるハイブリダイザーに着目した。これは粉体工学の分野で最近使われ始めた装置であり、乾式で微粒子の表面改質を行う装置である。この装置では、ブレードを高速回転させて生じた高速気流中に粉末を入れ、衝撃力を主体とする機械的エネルギーを与えることでコーティングする粒子を固定化し、成膜化処理を行っている。この方法が水素吸蔵合金の表面改質が試みられた例はわずかであり、LaNi5合金のCO被毒を軽減する効果のあることが報告されているが、それ以外には水素吸蔵合金のみならず金属材料のコーティングへの応用はほとんど行われていない。このハイブリダイザーでは、短時間(1-10 min)で表面改質を行なうことができ、機械的乾式処理のため排水による汚染が無く、大量に生産できるため低コスト化を望める、等の特徴がある。そこで本研究では、短時間で表面改質を行える装置であるハイブリダイザーを用いてMgおよびMg合金粉末にNiコーティングを行い、表面改質によりMg合金の水素化速度を向上させることを試みた。研究実施の方法: 鋼鉄製密閉ルツボを用いて Mg-Mg2Ni 共晶合金を作製し、470℃で3h熱処理を施し、微細組織を調整した。次に、純Mg塊およびMg-Mg2Ni 共晶合金をやすりで切削してこれらの粉末を作成した.試料粉末の形状およびの試料中の微細組織をSEM観察するとともに、X線回折法により結晶構造を調べた。また、ハイブリダイゼーション法によりこの試料粉末に衝撃力を与えて球形化するとともに、ニッケル微粒子を粉末表面にコーティングした。このために、本年度の予算にてハイブリダイゼーション装置を導入した。水素製造・貯蔵技術の開発■教育研究部会 活動報告 研究小委員会資料 ▷ P135Schematic view of hybridization machine

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