平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告40この装置は高速回転するブレードのついたローター、ステーター、および循環回路で構成される。装置内に投入された試料は反時計方向に高速回転するブレードから衝撃を受け、ブレードが起こす気流により循環経路を通って装置内に戻り、再びブレードから衝撃を受ける。これにより粒子を球形化することや、衝撃力によって粒子表面に他の粒子をたたきつけることで成膜化することができる。ハイブリダイザーによりNiコーティングを行った試料は、自動 PCT 測定装置を用いて水素吸蔵特性を調べ、水素吸収速度を評価した。研究成果: SEM観察結果から、試料粉末の形状は、やすりで削ったままの削り節状の形状から、ハイブリダイゼーション処理により球状に変化し、また試料表面にNiが均一にコーティングされていることが確認された。純Mg粉末、Mg-Mg2Ni共晶合金 as-cast 材およびMg-Mg2Ni共晶合金熱処理材の350℃における水素導入直後から200minまでの水素吸蔵量の変化を図に示す。この測定温度では、これら3種類の試料全てにおいて水素は吸蔵された。Mg粉末とas-cast材では水素吸蔵量は時間とともに緩やかに増加し、定常状態には達せず水素を吸蔵し続けるが、as-cast材の方が200minまでに吸蔵された水素量は多い。また、熱処理材では約10minで3mass%の水素を吸蔵した。このことから、Mg2Ni相の存在は水素化速度を増加させることがわかる.これは、Mg2Ni相の触媒効果によるものと考えられる。また、同じ組成で組織の大きさが異なるas-cast材と熱処理材の水素吸蔵量の比較から、Mg2Ni相は微細であるよりも粗大である方が水素化を促進させることがわかる。これらにハイブリダイゼーション処理によりNiをコーティングした試料の水素吸蔵量の変化も同時に図中に示した。いずれに試料においても短時間で約5mass%もの水素を吸蔵し、Niコーティングにより水素化が容易になることが分かる.特に、未処理の状態では水素吸収が極端に遅い純Mgでさえも水素を急激に吸収するようになることがわかった。このように、Niコーティングによる表面処理は、水素化速度の促進に著しく有効であることが示された。水素が金属中に溶解する場合、まず金属表面で水素分子が水素原子に解離する必要がある。この原子状水素が金属表面に物理吸着し、その後化学吸着状態に変化して金属内部に溶解していく。Mgはそれ自身の水素原子解離能が低く、また、表面に酸化物が容易に形成され、水素吸収が妨げられる。これはMg粉末の水素吸収速度が低いことからも解る.一方、Niは分子状水素を原子状に解離する触媒活性が高い。このため、NiコーティングされたMgおよびMg合金ではMg表面にコーティングされたNiの触媒作用によりMg表面からの水素の侵入が容易になったため水素化速度が増加したものと考えられる。研究成果報告:廃アルミニウムと水からの新規水素製造技術の開発杉岡 正敏(応用化学科)、神田 康晴(応用化学科)研究の目的: 化石燃料を使用する際に生成する二酸化炭素(CO2)は地球温暖化を引き起こすことが知られている。そのため、次世代のクリーンエネルギーとして水素(H2)が注目されてい資料 ▷ P136Time dependence of hydrogen absorption capacity

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