平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会では、武蔵工業大学・室蘭工業大学・室蘭市との連携による水素エネルギー関連研究を通じて地域振興及び教育研究の高度化を戦略的に図ることを目的としている。以下、本年度の活動について報告する。 本事業における地域連携は、連携対象地域である室蘭市と両大学との連携が軸となって展開される予定である。つまり本事業の副題が「~水素エネルギー研究協力を契機として~」となっているように、「水素エネルギー」というキーワードは、両大学の研究協力のみならず、室蘭市がまちづくりの核として水素社会への取り組みや環境産業拠点形成を目指しているところから、地域との連携事業の接点として表現されたキーワードでもある。水素利用タウン構想を持つ室蘭市、水素モビリティ研究において日本を代表する研究実績を有する武蔵工業大学、水素の貯蔵・脆化研究による地域への貢献をしている室蘭工業大学の3者が、地域振興と研究教育の高度化を互いの連携により図ろうとする戦略事業の側面を持つものである。 本年度の地域連携部会の活動としてはまず、平成21年2月9日に開催された室蘭地域水素利用タウン研究会に参加し、両大学関係者と地域の産学官関係者との水素エネルギーに関する情報交流を図り、室蘭の地での水素バス研究に関する理解を深めるための意見交換を行った。 当日の午前中は武蔵工業大学渡辺国際産官学連携室長、高木水素エネルギー研究センター所長、内燃機関工学研究室の岩崎氏、室蘭工業大学岸理事と共に、水素バスの実証走行ルートの確認、保管場所の確認を済ませた後、現在室蘭工業大学明徳寮に設置されている燃料電池システムの見学を行った。水素バスの実証走行ルートはその性能確認に適した、坂の多い室蘭市の中でも、特に傾斜の厳しい母恋地区から地球岬方面のルートの確認を行った。その結果、武蔵工業大学の感触としては十分走行可能であり、実証走行にとって最適なルートであるとの結論を得ることが出来た。また、水素バス保管庫は室蘭市の協力により管材課所管の車庫を見学、高さ、作業性共に十分で、保管庫としては必要十分であるとの意見をいただいた。これにより水素エンジンバスの実証走行は室蘭市において十分実行可能であることが開発者である武蔵工業大学側によって確認された。 午後からは室蘭市役所において産業振興課北野主査から室蘭地域水素利用タウン研究会の沿革・目的・活動状況についての説明があった。本研究会は室蘭地域の産学官からなるメンバーによって地域にある水素関連技術や副生ガスからの水素精製の可能性など、環境にやさしいエネルギー源として、今後利用されるであろう水素を利用したまちづくり(水素利用タウン)について提案し、室蘭地域の可能性をPRすることを目的に平成15年7月17日に設置された研究会である。活動はこれまで9回会議が開かれ、第2回研究会において水素エネルギー社会のモデル地域構築に向けてと題した室蘭地域水素利用タウン提案書をまとめている。この内容は室蘭地域における基盤、発展性の検討、水素エネルギーコミュニティ構想の地区別の検討、一次エネルギー資源、利用形態、コンセプト、社会経済的波及効果、ロードマップと課題から構成され、具体的な企業と地域との水素の融通やエネルギー供給モデルなどを提案しているものである。第3回研究会では北海道開発局「地域エネルギー資源を活用した水素社会形成調査報告書」にて室蘭での風力発電・燃料電池を活用した水素利用モデルの提案があり、それを踏まえ同報告内容提案ついて検討し、市民意識の醸成の必要性について提言をしている。また、最近では平成20年3月5日に洞爺湖サミット記念「総合環境展」へメンバー企業合同で出展している。 13時30分から室蘭市議会第一会議室において、室蘭地域水素利用タウン研究会が開催された。参加者は我々室蘭工業大学、武蔵工業大学の6名、研究会側からは㈱日本製鋼所室蘭研究所、新日本石油精製㈱室蘭製油所他企業4社6名と、NPO法人1社1名、行政は北海道開発局他2機関7名が参加、この日の研究会の主要議題は「室蘭工業■地域連携部会 活動報告地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告59室蘭地域水素利用タウン研究会に参加して室蘭工業大学 地域共同研究開発センター 特認准教授 関川 純人

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