平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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62う支援のもとで室蘭工大とお付き合いすることは、互いの良いところ、悪いところを学び合って、武蔵工大を良くしようという意欲を持つことが大事だと思っています。これまで、よその大学のやり方には、あまり興味もなかったし、興味を持つ必要もなかったのが現実です。大学も人間と同じで友達と交流して、大学経営、大学運営、教育改革、研究推進など多方面で素直に学び合う気持ちが大事です。良い友達(室蘭工大)は一生の財産です。 生まれも育ちも違う大学同士が、交流するのはまさに異文化交流です。従来の4工大連携とは異なり室蘭工大との連携は、その例です。連携支援事業の下相談、申請書の作成、事業推進組織の作成、担当者の選出等々、事務局の適切なアドバイス、獅子奮迅の働きがなければ、ここまで来られなかったし、これを経験したので工学部は、貴重な体験をしていると思っています。広く言えば、これも今回の戦略連携支援事業の成果といえます。4. 他大学に学ぶべきことは? 本学の教員も、次のようなことをよく言います。最近のうちの学生はできが悪い。こんな問題もできない。こんなことも知らない。勉強する意欲に欠けている。しかし、学力低下し、学習意欲のない学生が入学しなくなれば、大学は学生納付金で成り立っているので、廃校になります。他大学は、どのような対応をしているのだろうか?この原稿を執筆しているとき、「工学教育」(社団法人日本工業教育協会)の1月号を読みました。その記事に、「全入時代の教育の質保証」(上村先生・芝浦工大)があります。JABEE理念を中心にして「質の保証制度」を構築しています。また、「我が国における工学教育の質保証の現状と将来」(青木先生他・宮城高専)もJABEEによる教育プログラム評価による教育の質保証について述べています。「大学工学教育における導入教育の必要性と役割」(遠藤先生・東北学院大学)。この記事によれば、東北学院大学は工学部基礎教育センター+メンタルヘルスケーを行うカウンセリングセンターで総合的に対応しています。「工房教育と融合科目による体験的実工学基礎教育の実践」(原先生・日本工業大学)では、従来の実験実習の枠を超えた工房教育と座学が連携した教育システムを構築しています。このほかにも、入学後の 「フレッシュマンゼミ」での履修指導、高校時の履修歴に応じたコース別授業、習熟度別授業の導入、学修支援センター等々、様々な工夫のもとで工学教育を実施しています。 これらの大学は、上記のような工夫と熱意の結果、このままでは近い将来に本学は追い抜かれる!ことを強く危惧しています。独善的な意識を捨て、謙虚な気持ちで他者に学び、危機感を持って対応して行く必要があります。5. 最後に 大学には「立ち位置」があります。東京大学のように、世界の中での順位が気になる大学もあります。最優秀な高校生が欧米の大学に直接進学する時代です。本学の場合は、どういう立ち位置に立てばよいのでしょう?金沢工業大学では、学長方針として教員の活動割合は、教育5割、研究3割、社会貢献2割としているそうです(「工学教育」社団法人日本工業教育協会1月号124ページ)。極めて明確な基準で、本学で導入した場合には、どの程度の割合が妥当なのでしょうか?明確に決めることもできないかもしれません。 ただ、いえることは大学教育の質を保証することは、商品の品質保証と同じように重要なものとなっていることである。そのためには、大学の経営、運営、教育の面で質を保証するシステムを構築し、それを継続的に実施する体制が不可欠であると言うことではないでしょうか。このようなシステムがあっても、大学にとっては必要条件にしか過ぎず、決して十分条件ではないと言うことに留意すべきと思います。

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