平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書 資料編111気温が19度になると全部解けるということです。ですからこうならないようにしなければならないわけです。ちなみに関東をみるとこんな感じです。関東平野や濃尾平野、大阪平野はもし海面が72メートル上昇すると海の中になります。こうならないようにしないといけないのですが、数百年後、数千年後の人類にはどうしようもないのですね。今、我々が一刻も早くCO2の排出をやめなければ、こういう地球を我々は未来の人類に残してしまうことになるのです。長い時間で考えなければならないのです。IPCCの予測では、せいぜい2100年でも1メートルと言っています。タイムラグとあと2つ大きなポイントが含まれていません。一つは力学的変化と言います。例えば氷床の表面が解けてきた。それでトンネルみたいなものができて下まで落ちて、地表を流れると抵抗が減って氷河、氷床が流れる速度が上がることが考えられるのですが、どのぐらいの効果があるのか分からないので入っていません。もう一つは炭素循環のフィードバックがどれぐらいあるかが分からない。堆肥みたいな有機物が堆積している。温度が上がると分解して炭素が出ていくと考えられるのですが、それがどのぐらいなのか分からないので、これも計算に入っていません。さらに氷期から間氷期にいくときに、昔のサンゴ礁の位置を調べることによって海面の高さが分かります。それを分析したところ、50年間で3メートル海面が上昇したという証拠がメキシコで見つかりました。ということは短いスパンで数メートル単位の海面上昇は過去に起きているということです。これからも起きるかもしれない。そう考えるとこれは最低限であって、2100年までの間だって数メートル単位の海面上昇が起きてもまったく不思議ではないということを覚悟しておく必要があります。ほかにも怖い話しがあります。メタンハイドレートの自然気化。メタンハイドレートは天然ガスの主成分で、このあたりの都市ガスは天然ガス化されていると思いますが、そのメタンが高圧低温であるとシャーベット状になるのです。これが大陸棚にたくさんあります。今分かっている天然ガスの埋蔵量の数十倍はあると言われております。これが水温が上がってくると自然に気化をする。これが心配なのです。なぜかというとメタンは二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるのです。つまり一たん解けだして大気に放出されるようになったらますます正の循環がプラスになっていき、人間の力では止めることができないぐらい加速する可能性があるわけです。実は昔自然気化が起きたと考えられております。これは化石がいつからいつまで見られるということですが、2億5千万年前を境に見られなくなった化石がいっぱいある。この時に大絶滅が起きたことが分かっています。化石を分析すれば分かりますので、確実に大絶滅が起きた。その時一体何が起きたんだろうということです。全生物種の90%、海洋生物は96%がこの時絶滅しました。今最も有力な説は、地球の奥にあるマントルが地表近くまで上がってきた。スーパープルームと呼ばれています。それによって大陸の分裂などが起き、火山活動が盛んになった。二酸化炭素がたくさん放出され、温暖化が進むことによってメタンハイドレートの3分の1が解けたと考えられております。それによって猛烈な温暖化が起き、赤道付近で今より7度、局地で25度も暖かくなった。メタンはそれだけじゃないんです。CO2は一度出ると簡単には減らないのですが、メタンは10年ちょっとで分解していきます。その時に酸素と結びつくのです。それで酸素濃度がどんどん下がったと考えられております。今、大気中には21%の酸素が含まれていますが、その時には10%台前半まで減ったと考えられております。酸欠ですね。それによって大量絶滅が起きたのではないかと心配されております。今、人間がどんどんCO2を出している。それによってメタンが解け始めると、酸欠になってしまうかもという心配があります。さらに怖い話しというのは、そうなるかもしれないし、実は本当のところどうなるか予測が難しいところがあります。南極の氷を掘って調べると、その時の大気の状況が分かります。42万年前まで分かっております。スライドでは、気温のリズムとCO2、メタンが見事に連携しているのが分かります。氷期、間氷期、10万年に1回ぐらいやってきます。なぜかというと太陽を回る地球は斜めになっていますね。地軸がコマのように回ったり、太陽との距離の問題、離心率の変化があります。陸地が多いところが太陽に向いている角度の

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