平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書 資料編121裏話があります。多少下品な新聞が書いた台詞は、当時日本車の輸入でアメリカの自動車メーカーがダメージを受けていたので、宇宙技術を使って日本車を太平洋にたたき込むという言葉を使っていた新聞もございました。最初はスターリングエンジンから始まったのですが、自動車には合わないということで2年後ぐらいには燃料電池自動車に焦点が絞られました。ターゲットは燃費3倍、80マイルパーガロンと書きましたが、分かりやすく言いますとリッター35キロメートルパーリッター、そのオーダーの目標でございます。もう一つはアメリカカリフォルニア州のゼロエミッションビークル、ZEVなるものでございます。ご存じのようにカリフォルニア州は大気汚染で苦しんでおりまして、パティキュレートやオゾンなどの空質が環境基準を満たさないということで、州が打ち出したのはゼロエミッションビークルの導入規制です。当時カリフォルニア州で売っている車は10%はゼロエミッションビークルでなければだめだという法律を作ってしまいました。実施時期は2008年までずれ込んでおります。当時のこれのイメージは燃料電池自動車ではなく電気自動車でした。ですからこれに合わせてたくさんのメーカーが商品化しました。RAV4や日産のリーフの電気自動車などがアメリカのマーケットに投入されました。もう一つ話題になったのはGMのEV1でございます。これは地域と台数限定のリースでしたが、これが問題を起こしました。航続距離が延びないということでこの時からGMの破綻問題は始まっていた。電池自動車すらこのころから作れなくなったという話が出るくらいでした。どうも電池自動車は問題が多いということで、それぞれの自動車メーカーがゼロエミッションビークルに対しても燃料電池がいいのということで、ZEVもいつの間にか燃料電池自動車になってきました。そうこうしているうちに当時のダイムラーが1994年に世界で初めて燃料電池自動車を走らせたこともあり、一気に燃料電池自動車の開発に対して関心が向けられた。2002年からブッシュ大統領がハイドロジェンイニシアティブというプロジェクトを立ち上げて、ますます水素関係の技術に拍車がかかったという背景がございます。燃料電池はどういうものか、ご存じない方もおられると思いますので簡単に特徴を説明させていただきます。見た目はこんな感じです。学生が作ったものですが、光沢はサランラップのイメージで見ていただきたいと思います。そのサランラップと称するものには、プロトンだけを透過する特性があります。その物質の両側に電極をつけて水素と空気を供給する。水素極には水素を供給してその反応で電子を取り出す。電池ですからこれを取り出すのが目的です。残った反応でできたプロトン、水素イオンを先ほどの膜が透過します。空気極側では、この反応で水ができる。オーバーオールでは水素と酸素から水ができるので、反応で出来るのは水だけでございます。これが一つの特徴です。次にはエネルギー利用効率が高い。反応過程でエネルギーのやりとりは燃料が持っているエンタルピーから電子に変える。そのプロセスの効率がいい。エントロピ損失と言いますが、わずかです。私のイメージでは学生には両替するときの手数料ぐらいのイメージだと表現しています。エネルギー変換効率が高いので、例えば現在私どもが使っているガソリンエンジン、Otto機関と言いますが、その理論熱効率が60%であるのに対して燃料電池は83%の効率になります。自動車に使おうという理由は100度以下であることです。燃料電池の種類はいろいろあります。例えば溶融炭酸塩などは500度なのですが、今脚光を浴びています固体高分子形燃料電池PEFCは作動温度は100度以下であることで自動車に使えるということで、自動車屋さんが必死になって利用しようとしています。一個あたりの発電する電圧は理論的は約1.3ボルトで、実際は0.7ボルトでございます。ですから大電圧を取り出すためには積層にいたします。現在は今の自動車メーカーはどのぐらいでしょうか。これは積層状態を見てもらうために持ってきましたが400枚ぐらい積み重ねております。実は100度以下で作動させるために触媒として大量の白金が必要になります。これが一つの課題です。それと低電導率の水が必要。要は超純水がいります。水と白金の二つの問題を抱えながら世界中の自動車メーカーが開発、実用化に必死になっている。これが燃料電池でございます。どれぐらい燃費がいいのかを、燃費レベルで表現しま

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