平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書 資料編125私どもの大学では1970年から水素エンジンの研究をしておりまして、74年に環状7号線をパトカーの先導で走らせております。これ以降10台の水素エンジン自動車を作っております。この時は高圧ガスだったのですが2号車以降液体水素を使っております。理由は2つあります。一つは航続距離を伸ばすこと、もう一つは私どものコンセプトで高圧にするためには液体のままのほうが高圧化しやすいので、それ以降ずっと液体と水素を積む方式を研究しております。今回、皆さまに乗っていただいたバスは液体水素ではなくて、高圧ガスでございます。細かいスペックは試乗された方、またはお手元の資料にございますので省略します。私どもが水素バスで自慢できるのはエミッションでございます。ここにポスト新長期規制と言いまして、ノックス、CO、ハイドロカーボン、Particulate Matterとこんな厳しい規制がされております。現在これ以降売り出されるバス、トラックは莫大な白金の触媒や技術を使って対応しなければParticulate Matter、NOxは規制できない。厳しい規制でございます。ものによっては尿素のあるものを車に積んで噴射しながら使うという技術が規制値を達成する厳しさでございます。それに対してこのバスは、NOxが規制値の0.02 g/kWhです。Particulate Matterは水素を使っていることもあって限りなくゼロに近い。ゼロと表現してもいいぐらいの値でございます。しかもこの規制値を、後処理装置使用なしに実施しております。私は水素エンジンバスの一つの生きる道は、白金をビタ1ミリグラムも使わないで規制値を規制している。これも大事な実力としてPRに使わせていただいております。私どもの大学ではこれ以外、将来の水素エンジンをターゲットにした研究開発を進めております。優れた点はCO2がゼロ、NOxが低い、ハイドロカーボンとかCOとか現在規制されている物質の排出量がないということに対して、いろいろな技術課題がございます。例えば出力が低いとかバックファイアとかあります。私どもは、高出力化対策とか航続距離を伸ばすために液体水素を使っております。さらに筒内直接噴射で実現しております。それ以外バックファイアを防ぐとかいろいろなノウハウを蓄積しております。今回作り上げたマイクロバスは出力は従来の高圧ガスですが、可変過給器スーパーチャージャー、ターボチャージャーを使うことで出力を上げております。それ以外のノウハウもいろいろ使っております。さらに航続距離はあまり無理をしない。6本の高圧ガスで200キロ。出力も無理しないで過給でいってほどほどの出力で終わらせている。熱効率向上に関しては無理をしないで実現させています。これがきょう皆さまに乗っていただいたバスでございます。私どもはこれらの要求を満たした次世代のエンジン開発をしております。技術の一部を紹介いたします。高圧の噴射弁の開発を独自でやっております。この外形は日野のディーゼルエンジンに積むために、現在のディーゼルエンジンと同じ形状でございます。これで20メガパスカル、200気圧の高圧で水素を噴射するシステムを開発しています。ディーゼルエンジンみたいな直接噴射のエンジンになります。これが外形でございます。この中で最近見いだした技術は、専門的なデータで恐縮ですが横軸に燃料を吹く噴射式でエンジンを圧縮した上死点に近い条件で噴く、これがこの値なのです。噴くと同時に火をつける。イメージで言うと火炎放射器みたいですが、そういう燃やし方をすることでノックスが大幅に下がるというのを見いだしました。出力や熱効率はほとんど変化なしにこういう燃やし方ができる。これも水素でなければできない燃やし方です。噴いた後のおしりに火をつけるイメージでございます。空気と混ざる前に燃料を燃やすことを見いだしてPCC、プルームコンバッションコンセプトを作って、10月の頭に学会で発表しております。特徴はノックスが低い。PCCそのものではこのレベルですが、現在の乗用車でも使われていますEGRという燃えかすをもう一回吸気に吸わせる技術によってこのレベルまで下げることができました。このレベルが現在私どもが開発のターゲットにしております09年から実施されるレベルでございます。すなわちまだ台上のデータですが、触媒なしで現在の規制に高出力で対応できるポテンシャルがデータとして出てきております。最後に燃料電池自動車はお金がかかるので小さな車でやっています。一つは燃料電池カートで、秋田県の大潟村、八郎潟で行われているWEM、ワールドエコノムーブ

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