平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告17 教育教材を共同開発するにあたって、当初以下のコンセプトに沿ったものであることが望ましいと考えた。* なるべく汎用で、理系に相応しい教育教材であること。* 学生が手にとって扱えること。* 理系の基礎に使われる式などの理解を助けるモデルであること。* 何を示しているのかがわかる解説書を添付すること。* 継続的に学生に供給できるシステムを構築することで、連携の意義を示せること。 このコンセプトにより、以下に示すような教育教材を両校で共同開発し、業者に作製してもらい、大学の購買部などで販売するという案を提案した。その後、業者にモデル試作を依頼したが、現時点では、大量生産、販売するためのモデル作製を行うことが費用的に困難であることから、今年度は、典型的なモデルを2種類(フーリエ級数モデル、全微分モデル)試作し、来年度以降、このモデルを関係各所に配布して、その他のモデルについてのアイディアを募り、大量生産、販売についてはその後の検討事項とすることとした。 その後、両大学の関係者間で検討した結果、モデル作製の他に、学生が学ぶ上において重要な公式や概念を描いたクリアケースの作製が提案され、3種類(ギリシャ文字と接頭辞、三角関数のグラフ、Maxwell方程式)を試作することとした。これについても、次年度以降、関係各所に配布し、アイディアを募ることにより、継続的な作製について今後検討することとした。 今年度試作したモデルとクリアケースの内容は以下の通りである。①フーリエ級数を説明するカードケース(20個) フーリエ級数・フーリエ変換は、量子科学、熱力学、流体工学、電気工学、情報工学、制御工学など、現代のあらゆる工学において欠くことのできない基本的な概念であるにもかかわらず、学生の多くはその概念を理解していない。フーリエ級数は、いかなる周期的な関数も、正弦波や余弦波の和により表現できることを示しているが、このことを把握させるために、立体的に余弦波を配し、その和を示したモデルを学生に見せることにより、この概念を理解させることを狙ってこのモデルを作製した。また、このモデルにより、周波数領域と時間領域の波形の関係を理解することが期待できる。②全微分の概念を説明する鉛筆立て(20個) 偏微分は、多くの理系の大学生が、大学で数学を学ぶ際につまずく最初の概念であると考えられる。しかし、理解できたものにとってはあまりにも簡単な概念であるため、偏微分の意味とその重要性を認識させる工夫があまりなされていないのが現状である。偏微分の概念では、3次元空間での考え方が重要なので、立体モデルを使って偏微分と全微分の関係を示すモデルを作製した。このモデルを学生に見せることにより、空間と偏微分の概念、偏微分と全微分の関係を理解することができるようになることが期待できる。③ギリシャ文字及び接頭辞のクリアケース(200部) ギリシャ文字と接頭辞は、大学の理系における講義において、前提なしで(知っているものとして)使われることが多いが、高校で接頭辞やギリシャ文字を教わっていない(もしくは、重要視されていない)場合は、ギリシャ文字の読み書き、接頭辞の表す意味を知らないため、大学の学習の入り口で挫折してしまう。このクリアケースを持つことにより、常にギリシャ文字や接頭辞を意識することができ、比較的スムーズに大学の学習に臨むことができると考えられる。④三角関数グラフのクリアケース(200部) 三角関数のグラフの概形は、工学系の学生にとって必要不可欠であり、比較的正確に描けることが要求されるが、グラフを描くことに慣れていない新入生にとって、三角関数のグラフがどのような概形をしているのかについて見慣れることは重要であり、クリアケースの持つことによって、■教育研究部会 活動報告 プログラム・カリキュラム小委員会教育教材共同開発の実施報告東京都市大学 工学部 教授 田中 康寛

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