平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告27 室蘭市での実証試験では、市街地のほか登坂などを含む、幅広い運転条件が要求されるコースが選定された。おもな運行コースを図6に示す。試験は平成21年10月19日より11月14日の約一ヶ月間をかけて行われ、その間に計1025kmを走行した。またこの間の燃費は、10.5km/kgであった。以下に走行中に検出された課題を示す。3-1 低速トルク不足 試験中、運転手より、発進性および登坂性が悪いとの指摘があった。前出の図5に示すトルクカーブより、本水素エンジンは低速トルクが細いことが分かる。発進性および登坂性に関する指摘はこれによるものと思われる。 これについては今後2通りの対策が考えられる。ひとつは現在のシステムに低速トルク不足を補うためのハイブリッドシステムを搭載することである。車両制動時のエネルギーを回収しバッテリーに電気エネルギーとして蓄積し、それにより駆動されるモータにより、低速時のトルク不足分をアシストする方法である。いまひとつは、空燃費の向上による低速トルクの改善である。現在、超希薄燃焼を行うことで廃棄後処理装置を用いることなく窒素酸化物排出量の規制値を満たしているが、窒素酸化物を還元するための触媒を搭載することにより、空燃費を上げることが可能となり低速側でのトルク向上を図ることができると思われる。3-2 点火ケーブルの耐久性 平成20年度活動報告書に詳細が記載されているが、予混合水素エンジンでは、点火ケーブル内に残留した電荷により、シリンダ内圧が低下した際に二次放電が発生し、このことが逆火の主原因となっていた。その対策のため本水素エンジンバスでは、図7に示す対策ケーブルを使用している。これは、プラグケーブルにアースを施し、残存した電荷をアースすることで不適切な時期に発生する二次放電を防止する仕組みになっている。この対策ケーブルを用いることにより、本水素エンジンバスでは、使用される全エンジン運転領域で逆火を防止することに成功した。しかし対策ケーブルにとりつけたアース線には高電圧が作用することから、その寿命はエンジン寿命より短く、定期的に交換が必要であることがわかった。図8に劣化した対策ケーブルの様子を示す。アース線に高電圧が作用することにより、アース線と抵抗の接続部に写真に示すように徐々に変色が発生することが確認された。3. 室蘭市での実証試験の概要図7 対策ケーブル表1 排ガス試験結果図8 劣化した対策ケーブル図6 試験走行の範囲

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