平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告28 この対策として、今後は、対策ケーブルと同様に二次放電を起こしにくい点火系システムであり、かつ信頼性および耐久性に優れるCDI方式の検討を行いたい。 水素エンジンバスの寒冷地における運行にそなえ、日野自動車株式会社殿の環境試験室を借用し、低温時始動性の確認およびその他問題点の検出を行った。試験は、所定の温度に冷却した室内で車両を十分冷却した後、まずは始動性の確認を行い、始動後に長時間のアイドリング運転を行った。これにより運転により発生する水分の凍結などの影響を検出した。4-1 低温時始動性確認結果 低温時始動性の確認は、-10℃、-15℃および-20℃にて実施した。その結果、-10℃では常温時と同等のクランキング時間にて始動は可能なものの、吹け上がり不良が観察された。ただしこれは、約4分の暖機運転にて正常化された。-15℃および-20℃では、エンジンは始動不能であった。詳細については後述する。4-2 対策を要する項目 対策を要する項目を表2に示す。以下、各項目別に詳細を述べる。(1)燃料供給レギュレータバルブ作動不良 -10℃にて、燃料供給レギュレータバルブの作動不良が観察された。本水素エンジンバスで使用しているレギュレータバルブは、メーカ保証温度が-10℃のものである。今回の試験により、-10℃以下にて使用する場合は、バルブの保温を強化する必要があることが分かった。(2)オイルセパレータ内結露水過多および凍結による閉塞 現在の規制では、エンジンのブローバイガスは機関外部に放出することができず、オイル等をセパレータにより分離後、吸気管に戻すことになる。そのしくみを図9に示す。 ここで水素を燃料として用いた場合、化石燃料を用いた場合と比較して、燃焼により、より多くの水分が発生する。従って、水素エンジンでは、ブローバイガス中にも多くの水分を含むことになる。このブローバイガスの流路が低温にさらされる場合、その壁面に結露水が生じ、さらにそれが凍結することが予測された。そのため試験は、この点に注意をはらって実施された。当該部が凍結し閉塞すると、クランクケース内圧が上昇し、オイルシール部等からオイルが噴出する。従って、この確認は重要であった。 試験の結果、-10℃での運転にて、オイルセパレータ内の凍結が観察され、対策を要することが分かった。この対策として、オイルセパレータおよび配管の保温強化あるいはピストンリング等のチューニングによるブローバイガス量低減が考えられる。(3)-15℃以下で始動不能 -15℃以下での試験では、初爆は観察されるものの始動するには至らなかった。この原因として、上記①のレギュレータバルブ作動不良のほか、寒冷地運転に対し、燃料噴射量および点火時期がアンマッチであることが考えられた。これは現在使用している制御値に寒冷地マップを追加することで対策が可能である。 また寒冷地では、バッテリーの出力電圧が低下するが、制御系に使用しているDC-DCコンバータは、供給電圧16V以下で、セルモータに過負荷が作用していると判断し、そ図9 ブローバイガス流路4. 寒冷地におけるエンジン運転上の問題点

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