平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告33 今後、このような調製時の因子の感度を確認しながら、新しく開発される中温動作電解質膜と低白金触媒を組み合わせたMEAシステムの出力最適化に適用していく。5.1 研究の目的と概要 中温作動膜を用いたセルの性能劣化診断と軽減を、戦略的連携支援事業の研究課題の一つとして取り上げている。新しい素材を用いたMEAの性能劣化診断に要求されることは、劣化部位を明らかにすることである。個々の部位、例えばアノード、カソード、電解質膜などは従来の交流インピダンス法やCV法など電気化学的診断法の適用によって診断が可能であるが、複合要素から成り立っている触媒層各要素の劣化診断には新たな手法の開発が必要である。この目的のためにTLM-ACIS法(ACIS実験で取得したNyquist線図を分布定数型等価回路TLMによりカーブフィティングし各要素のインピダンス変化を診断する手法)の開発に取り組んでいる。図8がTLMの等価回路であり、図中にMEAを構成する電解質膜と触媒層イオノマー内のプロトン伝導プロセスと性能(インピダンス)、炭素内電子の伝導性および二重層コンデンサーと電気化学反応が示されている。5.2 診断適用結果 TLM-ACIS法を、凍結したMEAの起動繰り返しにより生じた性能劣化解明に適用し、次のような特性を解明した(図9)。 ・繰り返し回数に応じて機能低下が進む。 ・電解質膜の機能低下は生じない。 ・性能劣化は、アノードよりカソードで発生する。 ・カソードのイオノマーが機能低下し、炭素は低下しない。 ・�イオノマーは電解質側膜が重荷機能低下し、GDL側では低下しない。この症状に対応する電解質膜側の圧搾がSEM写真で観察されている。5.3 今後の進め方 中温動作型MEAの性能劣化診断に適用する。5. 中温動作膜を用いた燃料電池MEAの 性能劣化診断法の開発 -TLM-ACIS法の開発-図7 MEA調製法が出力に与える効果とANOVAによる分散分析図8 分布定数型等価回路のブロック線図図9 凍結MEAの繰り返しにより生じたイオノマーの劣化分布(電解質膜側のみ劣化)参考文献[1]� Y. Abe et al., Mater. Res. Innovations Online, 10, 93 (2006)[2]� T. Ikeda, Y. Harada and J. Ozaki, J. Power Sources, 187, (2009)93-97

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