平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告34 近年、ガス分離膜は工業、医療の面で注目される素材であり、様々な分離膜が検討されているが、中でも酸素分離膜はその応用についても注目されている。燃料電池は動作時に供給する空気の酸素濃度を高めることで、その発電性能を向上できる可能性があり、また一方で、空気中の塵などの不純物を取り除ければ、燃料電池の長寿命化を図ることができる。これらのことから、空気中の酸素を選択的に透過し、粉じん除去の機能ももつ酸素富化膜の開発を目指して、その作製条件について検討を行なった。 富化膜の作製方法は、市販の入手が容易なテトラフェニルポルフィリンコバルト(CoTPP)とアニリン、イミダゾール、ピリジン等の各種アミン類と、合成したポリオクチルメタクリレート(POM)(Mn:2.9×10-4、Mw/Mn: 1.6)を窒素雰囲気下でクロロホルム溶媒中、室温で1時間、混合することで調製し、その混合溶液をニトロセルロース微多孔膜に3回塗布したのちに、窒素雰囲気下で充分に乾燥することで富化膜を作製した。前年度までは膜に強度を持たせるために混合するポリマーにポリブチルメタクリレート(PBM)を用いていたが、POMを用いることで、より酸素分離性能について再現性の得られる安定した分離膜を作製できることが明らかとなった。 微多孔膜(孔径0.0025μm)を直接CoTPP混合溶液に浸して作製した富化膜は直径が25mmと小型であるが、軽量で、赤褐色のポルフィリン塗布部は物理的に安定であり、測定時の富化膜の取り扱いは容易なものである。購入したスピンコータでの塗布について、浸漬法と同程度の濃縮能を得られる条件は現在検討中である。 浸漬法で作製した富化膜初期酸素濃度21%の乾燥空気はFig.1のようにホルダーにセットして、その透過ガス濃度を測定した。作製した富化膜の酸素濃縮能をTable 1に示した。CoTPP溶液に添加するアミン類の中では2,4,6-トリメチルピリジンが効果的であることがわかった。(透過酸素■教育研究部会 活動報告 研究小委員会燃料電池性能向上の技術開発グループ燃料電池用酸素富化膜の開発室蘭工業大学 大学院 教授 松山 春男/助教 関 千草Scheme. Synthesis of a) POM and b) CoTPP-amine-POM complex.Figure 1. a) Preparation of CoTPP-amine-POM coated membranes. b) Scheme of air permeation.

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