平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告36 次世代エネルギー変換装置として注目度が急激に上昇している燃料電池の実用化には、高効率化、長寿命化および実用レベルへの低コスト化等の課題が山積しており、これらを解決するためには、現状の白金等の貴金属電極触媒やパーフルオロスルホン酸系固体高分子形電解質膜等の材料から新規材料への革新が急務・必須である。特に、電極触媒/電解質界面に着目すると、電池性能を支配する酸素カソード極の非白金系電極触媒の開発と高性能化が重要課題となる。 我々は、これまで、触媒担体としてしか用いられてこなかった炭素材料に触媒活性を賦与し、炭素材料自身の酸素のカソード還元に対する電極活性を向上させ、これを用いたより高性能な非白金系カソード極の開発を目指してきた。炭素材料の中でもCNTは化学的安定性、機械的強度等に優れており、現状の白金系触媒の使用環境で生起する①酸性電解質膜に溶解し膜中にPtバンドを形成する、②Ptの溶解/析出によるシンタリング、③炭素担体の腐食等の性能劣化の問題点を克服できる可能性をもつ。 本研究では、新たに開発したエアロゾル支援熱分解CVD法により合成した単層あるいは多層CNTと機能性高分子、有機金属錯体および無機ナノ粒子とのコンポジット化を図り、化学的に構造制御された燃料電池用酸素カソード極の高性能化を目的とした。さらに、水素製造―水素吸蔵/放出―燃料電池の3系の統合システム化は、将来の水素エネルギーシステム構築の可能性に対する基礎的知見を得る上で興味深く、これについても実施する。2.1. CNTの合成、高純度化と分散(a)�CNTの合成:アルコールを主に炭素源にとし、新たに開発した異原子導入可能なエアロゾル支援気相触媒流動法により合成した。CNT合成基板は、グラッシーカーボン、カーボンペーパーである。合成したCNTは、ダイナミックTG熱分析の結果に基づき、所定温度、所定ガス雰囲気下での熱処理によりアモルファスカーボンを除去し、さらに超音波あるいはマイクロ波照射下で化学薬品処理と超遠心分離により高純度化された所望のCNTを分離した。(b)�CNTの腑活:異原子導入のため所定ガス雰囲気下で熱処理を行い、エッチング効果、欠陥部の導入によりCNT上に活性官能基の導入あるいは化学修飾により性能の向上を図った。(c)�CNTの分散:CNTと有機あるいは無機物質とのナノコンポジットを合成するためのインクを作製するためにCNTそのものの分散は重要である。所定の機能化されたCNTを水溶液系、非水溶液系に分散し、CNTの分散液を調製した。■教育研究部会 活動報告 研究小委員会CNTを活用した燃料電池用酸素カソード極の高性能化室蘭工業大学 大学院 准教授 田邉 博義1. 研究目的2. 研究実施方法図1 CNT/PPy-Co系コンポジットの酸素カソード特性写真1 コンポジット分散液

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