平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告41 化石燃料を使用する際に生成する二酸化炭素(CO2)は地球温暖化を引き起こすことが知られている。そのため、次世代のクリーンエネルギーとして水素(H2)が注目されている。水素の製造法としては化石燃料の水蒸気改質反応が広く行われているが、その過程においてCO2が副生する。そのため、CO2を副生しない新規の水素製造法の開発が望まれている。我々は金属加工時に生じる切削くずなどのアルミニウム(Al)系廃材からCO2を副生せずに水素を得る方法として、Alと水(H2O)との反応による水素製造に注目している。昨年度は研究室レベルでのガラス製反応器より実機に近い装置としてステンレス製反応器を試作した。そこで、本研究ではステンレス製反応器を用いたAlと水との水素生成反応について検討した。 アルミニウムと水との水素生成反応はステンレス製反応装置を使用して行った。反応器には市販の小型反応器(反応容器体積:100ml)および昨年度に試作した大型反応器(反応容器体積:2000ml)を用いた。なお、小型反応器を用いる場合には粉末状試薬、大型反応器の場合には切削くず(廃Al)をAlとして使用した。コイル状の廃Alは反応容器の大きさに対して大きすぎるため、使用前に細かく切断した。また、切削する際に付着した油分を除去するため、アセトンで短時間2回洗浄し、風乾した後に50℃で一昼夜乾燥して使用した。小型反応器を用いる場合は5~30gのAlを入れた反応器にH2O80mlを加えて、ヒーターで加熱しながら反応を行った。大型反応器ではAl40g、H2O1400mlで反応を行った。また、発生したガスはアクリル製捕集器に水上置換方で捕集して体積を測定し、ガスクロマトグラフにより純水素であることを確認した。3. 1. 小型ステンレス製反応器を用いた水素生成反応 図1に小型ステンレス製反応装置を用いたAlと水との水素生成反応を示す。その結果、ステンレス製反応装置を用いても、ガラス製反応器と同様の誘導期が観察された。したがって、これ以降はステンレス製反応器を用いて反応を行った。 先に我々は、高硬度物質およびAl(OH)3の添加などによって反応の誘導期を短縮できることを明らかにしている。■教育研究部会 活動報告 研究小委員会廃アルミニウムと水からの新規水素製造法の開発室蘭工業大学 大学院 助教 神田 康晴/特任教授 杉岡 正敏1. 研究の目的2. 研究実施方法3. 研究成果図1 小型ステンレス製反応器を用いた水素製造反応Al:10g,H2O:80ml, 反応温度:40℃,攪拌速度:1350 rpmAmount of H2 evolved(ml)図2 攪拌翼の形状(a)オリジナル、(b)試作品(30°)、(c)試作品(40°)(a)(b)(c)

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