平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告42しかしながら、より実用的な反応温度が誘導期に与える影響については検討していない。表1に反応温度を変えた場合のAlと水との水素生成反応の誘導期を示す。なお、反応の誘導期は水素発生量が急激に立ち上がる部分を直線近似し、時間軸との交点と定義した。反応温度を30℃から40℃以上に上昇させたときに著しい誘導期の短縮効果がみられたが、50℃以上では誘導期はほとんど変化しないことがわかった。したがって、エネルギー(水素)を得るためのエネルギー(熱)の投入は少ないほうが望ましいため、反応温度は50~60℃が適していると考えられる。 さらに、攪拌翼の形状が反応温度40~60℃での誘導期に与える影響についても検討した。攪拌翼には図3に示す形状のものを用いた。その結果、反応温度が40~50℃では試作プロペラを使用することで誘導期を短縮することができたが、60℃での誘導期はオリジナルのものと同等であることがわかった。これは、誘導期に対して反応温度が低いと攪拌効率が強く影響を及ぼし、反応温度が高いと攪拌の影響は弱くなることを意味している。3. 2. 大型ステンレス製反応器を用いた水素製造反応 昨年度に試作した大型反応器の詳細を以下に記す。反応器容積約2000ml、撹拌翼の回転軸は反応容器中心に設置し、回転翼には角度をつけて2段重ねとした。また、底面は平底とし水平翼下端までの距離は10mmとした。この試作反応器を用いて、廃Alと水との水素生成反応を行った。この結果を図3に示す。これより、反応温度60℃のときに水素生成量は最大となることがわかった。これは、反応温度が高すぎると反応生成であるAl(OH)3によってAl表面が覆われてしまうためであると考えられる。 実用化する上で必要な水素発生量を確保できるような運転条件を見出す。また、反応器内で発生した水素を高圧で貯蔵しながらの反応についても検討する。図3 大型ステンレス製反応器を用いたAlと水との反応における水素生成量 Al:40g,H2O:1400ml,反応7時間後Amount of H2 evolved(ml)4. 来年度の計画Reaction temperature(℃)Induction period(h)3015.10404.30500.73600.36700.02800.26900.03表1 Alと水との水素生成反応の誘導期への反応温度の影響 Al:10g,H2O:80ml, 攪拌速度:1350rpm

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