平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
46/186

地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告44層にトラップされているものと思われる。仕上げ面が粗いほど腐食反応が起こる場も広くなり、さらには加工変質層も厚くなるためより多くの水素が吸蔵されるものと推測されるが、その詳細は今後の課題である。 最終表面仕上げ状態の異なる6種類の試料を用いてスモールパンチ試験を実施した結果、水素量に応じて機械的特性が大きく変化することがわかった。スモールパンチ試験で得られた最大荷重時の変位と水素量の関係を、図2に示す。水素吸蔵量が0.6mass ppm以上になると、水素の増加にともに最大荷重時の変位が顕著に低下しているのがわかる。表面粗さはそのままで水素のみを逃散させた試料ではこのような機械的特性の劣化は生じなかったことから、図2に見られる延性の低下は水素のみの影響によるものであると思われた。試験後の試験片表面のSEM観察を行った結果、水素量の増加に伴い表面微小き裂の数が増加する傾向が観察され、水素がき裂の初生を促進している可能性が示唆された。研磨による水素吸蔵とそれによる延性低下のメカニズムの詳細は今後の課題ではあるが、表面仕上げ状態を調整した試験片用いたスモールパンチ試験がアルミニウム合金の水素脆化感受性評価法として有用な方法であることが示唆された。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です