平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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■教育研究部会 活動報告 研究小委員会地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告451.1 研究のスコープ 坂道の多い室蘭における実証試験に、より適したエンジンの先行開発を行う。キーとなる開発技術は、筒内高圧直接噴射による高出力とNSR(NOx吸蔵還元)触媒によりNOx排出を概ねゼロとすることのできる技術開発を行うこと。1.2 4気筒エンジンと高応答高圧噴射弁の開発 本プロジェクトで開発した水素エンジンシステムは、GVWが4トンのマイクロバスを走行させる計画で、排気量 4.7Lの直列4気筒ターボディーゼルエンジン(日野J05D-TC)をベースに、自然吸気としたほか、ピストン形状は皿型、圧縮比は12.7に変更した。エンジンシステムの構成を図1に示す。 水素エンジンの課題であるバックファイアの発生を防ぐことと、ガスエンジンの宿命である低出力化を極力押さえるため、最大20MPaの噴射圧力が可能な筒内直接高圧水素噴射方式を採用した。この噴射弁システムは、本プロジェクトの一環で東京都市大が独自に開発した(図2)。コモンレール油圧駆動ニードル噴射弁方式を採用し、最大20MPaまでの高圧で噴射することができることと、高速応答を可能としたことである。噴射期間30度CAで最大必要燃料量を燃焼室に噴射することができ、噴射時期と期間の制御は、コモンレールにより噴射弁に供給している駆動油のスピル量と時期の制御により行った。多段噴射も可能な高速度応答性能を有している。 図3に開発した4気筒エンジンの出力性能を示す。開発目標値を超える最大トルク400Nm、最高出力104 kW/2800rpmを達成した。1.3 NOx排出を大幅に低減する新しい燃焼コンセプトの構築 CO2排出のない水素燃料エンジンの唯一の有害排気成分は窒素酸化物NOxであり、かつこれまでの技術では数千ppmという高い排出濃度であった。本プロジェクトでは、今年度の研究においてこのNOx排出を大幅に低減することのできる新しいコンセプトを見出し、PCCコンセプト(Plume Combustion Concept;過濃混合気塊燃焼コンセプト)と命名し、学会での発表も行った。このコンセプトは、水素の空気に対する高い拡散性と燃焼速度を活用したものであり、噴射中または直後の高じょう乱状態の過濃水素噴流塊に火花点火し燃焼させ、過濃混合気の低NOx生成を活用したものである。図4に示すように、上死点からそれ以降の噴射時期で、かつ概ね同時期の火花点火により、NOxの生成が他の条件の70%以上もの大幅な低減が実現できた。さらに、熱効率ηiの低下も未燃焼水素の急増も生じていないことがPCC燃焼の特長である。また、PCC燃焼にEGRを行うことによって、さらに大幅なNOxの低減が可能であり、EGRにみにより現行規制値である2009年大型バスの規制値レベル水素エンジン/燃料電池/水素製造次世代要素技術解決(第2ステップ)東京都市大学 工学部 特任教授 高木 靖雄1. 低NOx高出力直接噴射 水素エンジンの研究開発図1 4.7 L 4気筒エンジンシステム図2 高応答高圧噴射弁図1 4.7 L 4気筒エンジンシステム

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