平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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■教育研究部会 活動報告 研究小委員会宇宙用スターリングサイクル発電機の研究室蘭工業大学 大学院 講師 吹場 活佳/特任教授 棚次 亘弘東京都市大学 工学部 講師 渡邉 力夫地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告491.1 研究の概要 スターリングエンジンは高温部、低温部の温度差を利用して高効率で運転することのできる熱機関である。ディーゼルエンジンなど他の熱機関と異なり、作動流体をエンジン内に封じ込めて熱の出入りのみで運転することができるため、宇宙空間における太陽熱を用いた発電に利用できる可能性がある。現在宇宙用の発電機関としては太陽電池がよく用いられるが、スターリングエンジンは太陽電池と比較しより高い変換効率で運用できる可能性があり、また宇宙放射線に強いといったメリットもある。本研究では過去に宇宙用として開発されたスターリングサイクル発電機を電気ヒータを熱源として運転し、その性能を把握する。スターリングエンジンでは水素などの軽量な気体を作動流体として用いることでエンジンの性能が向上するという報告があり1)、本研究でも水素ガスを用いた運転を行い他のガス(ヘリウム・窒素)を用いた場合との比較を行う。1.2 連携研究としての位置づけ 本研究は東京都市大学と室蘭工業大学の連携研究として実施された。宇宙機の実状に詳しい東京都市大学側の研究者と、スターリングエンジン研究に実績のある室蘭工業大学側の研究者が協力することにより、宇宙用スターリングサイクル発電機研究の活性化を図った。年度初めの5月に都市大学側の研究者が室蘭工大に来訪しキックオフミーティングを行ったのを皮切りに、数回の研究ミーティングを開催した。今回の研究では実際にエンジンを運転しての性能取得を室蘭工大が、発電機を宇宙空間で運用する際の集光器・放熱器の構造検討を東京都市大学が担当した。 本研究で用いたスターリングサイクル発電機の外観および断面を図1に、その他緒元を表1に示す。装置上部に電気加熱によるヒーターがあり、これが高温熱源となる。ヒーターチューブの下部には蓄熱式の再生熱交換器があり、さらにその下部に冷却部がある。冷却は水冷による熱交換で行われる。これらの高温部と低温部は中央のディスプレーサシリンダに繋がっており、DCモータによって駆動するディスプレーサピストンが内部の作動流体を高温部と低温部の間で交互に移動させている。これにより、圧力変化が生じ、一対の対向式パワーピストンによってリニア発電機が駆動され、発電する。 実験装置概要を図2に示す。高温部のヒータ-への投入電力は交流電源の1. はじめに2. 装置概要出力200 W級幅×奥行×高さ480×370×350 mmディスプレーサDia.×Strokeφ59.5×20 mmパワーピストンDia.×Strokeφ25.8×10 mm表1 スターリングサイクル発電機緒元a)外観b)断面図図1 スターリングサイクル発電機図2 実験装置概要

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