平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告51方効率ηに関しては図6の実験値が式(3)と同様の傾向を示しているが、実験におけるηの値自体は理論値に比べかなり小さい。これは現状ではまだ高温部の温度が低いなど不利な条件で運転していることが要因として考えられ、今後運転条件を変更することなどで改善が可能と思われる。3.2 水素を用いた場合の発電特性 図7,8に、作動流体として窒素・ヘリウム・水素の三種の気体を用いた場合の発電電力および発電効率のグラフを示す。図によれば、同じディスプレーサ周波数において発電電力は水素・ヘリウム・窒素の順に大きい。水素を用いた場合、同じヒータ投入電力でも高温部温度がより低くなってしまうという傾向がみられ、これにより発電電力が低下したものとみられる。また、図8の効率については窒素を用いた場合の効率が他と比較し著しく低い。これはディスプレーサを駆動するのに必要となる電力が大きいことが原因である。図9にディスプレーサ駆動電力を示すが、これによるとディスプレーサを同じ周波数で駆動するのに必要な電力はヘリウム・水素の場合に比べ倍以上大きい。従って、特に高回転数にした場合に出力の増加よりも抗力の増加の方が上回り、効率の低下につながっているものと考えられる。なお、水素についてはまだデータが少ないため、今後数多くの実験を行い特性を把握する必要がある。 本研究では、宇宙利用を目指したスターリングエンジン発電機の運転性能試験を行い、以下の結果を得た。(1) 作動流体にヘリウムを用いた実験により、本スターリングサイクル発電機の基本性能を把握した。ディスプレーサ周波数の変化による発電電力および発電効率の変化や、高温部の温度変化による発電電力および発電効率の変化が明らかとなった。(2) 作動流体として水素・ヘリウム・窒素の三種の気体を用いて実験を行い、性能の違いを調査した。作動流体として窒素を用いた場合、ディスプレーサを駆動するのに必要となる電力が2倍以上に増加し、結果として発電効率が低下することがわかった。 現段階では装置出力である発電電力も装置の効率もまだまだ低く、実用レベルであるとはいえないが、運転条件を変化させることで出力の向上が期待できる。 謝辞 本研究を実施するに当たり、室蘭工業大学大学院生塚野徹君、同じく学部生金森裕君に多大な協力をいただいた。ここに記して謝意を示す。4. まとめ参考文献[1]�山下巌、濱口和洋、香川澄、平田宏一、百瀬豊:スターリングエンジンの設計、パワー社[2]�塚野徹、吹場活佳、棚次亘弘:宇宙用スターリングサイクル発電機に関する実験的研究、第53回宇宙科学技術連合講演会講演集(CR-ROM)、2009図5 高温部の温度変化による発電電力の変化図6 高温部の温度変化による発電効率の変化図7 作動流体の違いによる発電電力の変化図8 作動流体の違いによる発電効率の変化図9 作動流体の違いによるディスプレーサ駆動電力の変化

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