平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告53350cm-1に現われ、ピュアの試料と比べてギャップの大きさが2/3程度に抑制された。これらの結果は、最近のY系銅酸化物高温超電導体に対するラマン散乱の結果とは異なるものであり、注目される。研究成果報告:�希土類化合物超電導体CeRu2における構造不規則性の導入による効果村山 茂幸(しくみ情報系領域)、高野 英明(しくみ情報系領域) ラーベス相希土類化合物CeRu2は超電導(Tc ≈ 6.0K)を示す物質の1つとして知られている。一方、アモルファスCe-Ru、合金では我々の研究により、Ce濃度に依存して超電導や重い電子的振る舞いを示すことが判明している。そこで、本研究ではラーベス相CeRu2にメカニカルミリング法を用い構造不規則性を導入して、構造が結晶からアモルファスに至るまでの過程でどのような超電導特性および磁気的性質を示すのかを調べることを目的とした。 純度99.9%のCeとRuを秤量し、トリアーク炉を用いてAr 雰囲気中で母材となるCeRu2を作製した。その後、試料を真空中900℃で100時間のアニール処理を施した。構造不規則性の導入は粉砕型ボールミル容器を用いてHe雰囲気中でのメカニカルミリングを25~500時間まで段階的に行った。粉末X線回折測定により各試料の結晶構造を評価し、SQUID 磁化測定装置により印加磁場50Oe、温度範囲2-300Kで磁化の温度依存性を調べた。 X線回折測定の結果から、目的となる試料が出来たことがわかった。様々なミリング時間におけるX線回折パターンを系統的に調べた結果、ミリング時間が長くなる毎に回折ピークの強度が減少し、線幅が広がることが分かった。これらの原因として、結晶子径の減少が考えられ、構造不規則が導入されていると判断できる。磁化測定ではミリング試料の25~150時間において超電導に伴う反磁性が確認され、Tcのミリング時間による変化はほとんど見られなかったが、反磁性磁化の大きさはミリング時間とともに減少することが明らかになった。研究成果報告:Sm-Ru系金属間化合物の作製と物性評価村山 茂幸(しくみ情報系領域) 希土類金属間化合物においては、価数揺動、重い電子、さらに重い電子を伴う超電導を示す物質群が存在する。ラーベス相希土類金属間化合物CeRu2は、超電導(Tsc ≈ 6.0 K)と比較的大きな電子比熱係数γを示す物質である。この原因として、Ceが持つ不安定な4f電子の存在が指摘されている。本研究では、物性の報告例が少なく同じ希土類金属で不安定な4f電子を持つSmに着目し、Sm-Ru系金属間化合物の作製を試み、磁性と伝導を明らかにすることを目的とした。 Sm(3N)とRu(3N)を目的とする組成(SmRu2, Sm3Ru, Sm5Ru2)となるように5g秤量し、トリアーク炉を用いて多結晶試料を作製した。得られた試料に対しアニール処理(500℃, 100時間)を施した。粉末X線回折測定により構造評価、SQUIDにより磁化の温度依存性の測定を行い、構造と磁気的性質を評価した。 X線回折測定により、作製したSmRu2は立方晶と六方晶が混在していることがわかった。SmRu2の磁化率と逆磁化率の温度依存性から、50K以上の高温側での磁化率は温度の減少と共に増加することが分かった。逆磁化率は50K以上の温度領域で、Curie-Weiss則(χ=C/(T-Θ))に良く従う常磁性的振る舞いを示した。一方、低温側での磁化率は、Curie-Weiss則からずれ、約50K付近から急激な増加を示し、低温極限で飽和した。この飽和磁化の値は0.74μB / Sm atom でfreeのSm3+で期待される0.7μB / Sm atom と非常に近い値である。これは、50K 以下で強磁性転移を示すものであり転移温度Tcは37K で正のΘ の結果とよく一致することが分かった。

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