平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告54研究成果報告:重い電子系Ce0.87La0.13(Ru1-xRhx)2Si2の磁性と伝導村山 茂幸(しくみ情報系領域) 重い電子系化合物 CeRu2Si2はCeサイトをLaで微量置換したCe1-xLaxRu2Si2では、La濃度0.075≦x≦0.80において格子と不整合な波数ベクトル(kx,0,0)を持つスピン構造が出現し、x≥0.2では、TNより低温においてサインの高調波が観測される。RuサイトをRh置換したCe(Ru1-yRhy)2Si2では、Rh濃度領域0.03< x<0.35において不整合な波数ベクトル(0,0,kz)を持つスピン密度波(SDW)が出現する。本研究ではCe(Ru1-xRhx)2Si2のCeサイトをLaで置換し、La濃度を0.13に固定したCe087La0.13(Ru1-xRhx)2Si2の磁気的、電気的性質を調べることを目的としている。 単結晶試料はトリアーク炉を用い、Ar雰囲気中でCzochralski法により作製し、800℃で一週間アニールを行った。磁化はSQUID磁化測定器を使用し、温度範囲2~300K、印加磁場1000Oeで測定された。電気抵抗は3He cryostatを用い4端子交流法により温度範囲0.5~300Kで測定した。 c軸平行方向の磁化率χはキュリーワイス的な温度依存性を示し、x = 0, 0.1, 0.2, 0.3の試料において低温側で反強磁性的なピークが観測された。La濃度の増加とともにピークを示す温度は上昇し、且、カーブの鋭さが急になった。x = 0.4、0.5ではピークの出現は確認できなかったが、温度低下に伴う磁化率の単調な上昇が2 Kまで観測された。これに対し、c軸垂直方向ではほとんど温度依存性を示さなかった。今後、これらの磁気的振る舞いの起源を詳しく調べることが望まれる。研究成果報告:希土類‐3d遷移金属酸化物R(Fe,Mn)O3(R:希土類)の磁性とR置換効果高野 英明(しくみ情報系領域) 希土類元素を含む酸化物には、超電導物質やスピンエレクトロニクス分野の新たなデバイス材料として期待される、強磁性や反強磁性と強誘電性等の秩序を併せ持つマルチフェロイック物質など、様々な機能を示す物質がある。その中でもRTO3系(R = 希土類元素, T = Mn,Fe,Co)は、マルチフェロイック物質として広く研究されている物質である。反強磁性体TmFeO3で、レーザー光誘起のスピン再配列現象が数psの時間で起こっていることが観測され、また、TbMnO3では、Mnイオンが磁気秩序を示すときに電気分極が生じ、磁性と強誘電性を同時に有することが報告されている。これらRTO3の示す物性は、その構造と密接な関連がある。基本的な結晶構造は、RFeO3で斜方晶、RMnO3では、軽希土類側で斜方晶、重希土類側で六方晶であると報告されている。本研究では、RFeO3とRMnO3の混晶試料R(Fe,Mn)O3を作製し、Rの置換に伴う結晶構造と磁性の変化を明らかにすることで、これらの試料における(Fe,Mn)の磁性の寄与を調べる。さらに、RをSrで置換したR1-xSrx(Fe,Mn)O3についても構造と基礎物性の測定を行う。 試料はそれぞれ、母材料を固相反応法で多結晶試料を作製した。ペレット化した試料は、酸素雰囲気中、1200℃で焼結させた。結晶構造は粉末X線回折測定により同定し、磁化はSQUID磁化測定器を使用し、温度範囲6~320K、印加磁場1000Oeで測定した。 得られた試料に対して、粉末X線回折測定をおこなった。R = Erでは斜方晶、空間群Pnmaに対応するピークが観測され、R = Tm,Yb,Luでは六方晶、空間群P63cmに対応するピークが観測された。RをSrで置換した系について、測定したSr置換量の範囲では、構造に変化はなく、それぞれ、斜方晶と六方晶の構造であった。磁化の温度依存性については、R = LuのSrで置換した系で、30K付近でFCとZFCとの間で分離が観測され、スピングラス的な

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