平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
59/186

地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告57 生体皮膚組織を介した生理情報の計測は、ユビキタス医療センシングの最も実現可能性の高い技術として期待されている。なかでも光を使った方式は、無侵襲、非接触な特長を有し、簡便な医療計測機器として有効である。本研究プロジェクトでは、レーザー光を生体組織に照射した際に観測されるスペックル現象を利用した経皮的生体組織血流イメージング装置の開発を目指す。皮膚のレーザースペックルパターンから組織血流の分布を可視化する手法はすでに知られているが、従来法では組織内の血液濃度や酸素化状態などの情報を取得することができない。しかしそれらは血流と共に、血液循環に関する医用診断や生理学的研究において極めて重要な指標となっている。室蘭工業大学では、血液濃度情報の抽出が可能な分光計測法との融合による血流と血液濃度変化の同時イメージング法を新規に提案した。そこでは、濃度計測に必要な2波長のスペックル画像の同時撮影を原理的構成の光学系で行ってきたが、この系は安定な撮影データ取得に問題があった。今回、2波長スペックル画像同時撮影システムの光学系を改良することで安定した測定が可能になったので、まずその結果を報告する。その後、生体を対象とした実験として麻酔下ラットによる血流イメージングを試みたので、それについて述べる。一方、光による生体のイメージング装置の開発には、光が皮膚組織をどのように伝搬するかについての基本特性の理解を併せて行う必要がある。これについては東京都市大学にて研究開発中の生体埋め込み型センサーへのレーザー光による効率的電源供給の実現を目指し、最適な照射条件、伝達可能深さと効率などをシミュレーションで検討したので報告する。 室蘭工業大学では、光およびレーザー光を利用した各種生体センシング法、イメージング法を研究展開しており、企業や他大学との共同研究実績がある。しかし、学内にて医療に関わる臨床的な研究、ならびに実験動物を対象とする研究を展開できる設備・環境がなく、技術を有する研究者もいない。これに対し、東京都市大学では工学部に生体医工学科を有し、動物実験を実施できる設備・環境があるとともに動物実験技術に習熟した研究者がいることから、両大学の連携により本プロジェクト研究が効果的に推進できる条件が揃う。さらに、東京都市大学で展開する生体埋め込み型センサーは、センサーへの電源を供給する手段として、安全性や利便性の観点から光エネルギーの活用を進めているが、学内では生体組織への光の伝達に関する研究実績がこれまでにほとんどなく、手探りの状態であった。一方、室蘭工業大学では上述のような光学的生体計測法の研究実績があり、この蓄積技術を活用することで生体埋め込み型センサーへのレーザー光による効率的な電源供給の実現を期待できる。このように、両大学の特徴とする技術と不足する技術を互いに補完しあう研究を展開できる点で連携の意義が高い。平成21年度は下記の5回にわたる打ち合わせ、実験、まとめを行った。第1回打合せ:平成21年10月23日(金)東京都市大学生体医工学科第2回打合せ:平成21年11月20日(金)室蘭工業大学総合研究棟動物実験第1回:平成22年1月22日(金)東京都市大学生体医工学科動物実験第2回:平成22年3月12日(金)東京都市大学生体医工学科今年度活動のまとめ:平成22年3月15日(月)東京都市大学生体医工学科参画学生室蘭工業大学大学院工学研究科機械システム工学専攻2年生 平田 達也君東京都市大学大学院工学研究科電気工学専攻2年生村田 哲雄君、原池 啓二朗君■教育研究部会 活動報告 研究小委員会生体組織の光学特性及びエネルギー伝搬特性に関する研究室蘭工業大学 大学院 教授 相津 佳永/東京都市大学 工学部 准教授 島谷 祐一1. 研究の目的2. 連携の意義

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です