平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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室蘭地域においては、平成15年策定の室蘭地域環境産業拠点形成実施計画における中核プロジェクトにおいて、水素タウン研究会の活動が位置付けられており、将来の水素エネルギー社会を意識したまちづくりの検討を進めてきた経緯がある。そのような中で、平成20年度からスタートした、東京都市大学、室蘭工業大学、室蘭市による水素エネルギー研究を契機とした戦略的大学連携支援事業は時宜にかなった取り組みとして、自治体としても市民への水素エネルギー普及啓発事業として組み立て、実施することとなった。 計画では、東京都市大学で開発した水素エンジン燃料バスを坂が多く寒冷な秋口の室蘭という条件で、実証走行試験を行うと同時に、この機会を利用して、室蘭地域の市民、児童・生徒にクリーンな水素エネルギーを知ってもらい、地球環境問題について考えてもらおうというものである。 平成20年度においては、東京都市大学の水素エンジン燃料バスの開発の経過やそこに投入されているシーズを地域の方々に知ってもらうため、室蘭地域水素利用タウン研究会のメンバーを対象に東京都市大学の水素バス開発者等との情報交換会を開催した。 当研究会メンバーは日本製鋼所㈱室蘭製作所や新日本石油精製㈱室蘭製油所、北海道開発局、北海道エア・ウォーター㈱など、水素関連の研究蓄積のある産学官の団体から構成されており、水素社会の将来や、水素ステーションの設置の道筋などについて議論が交わされた。同時に東京都市大学の高木教授等が、実際の室蘭市内の走行ルートの登坂度合いなどの事前チェックを行った。 平成21年度は、10月20日から11月16日まで、室蘭市内を中心に1,001㎞に及ぶ水素燃料エンジンバスの実証走行試験と水素エネルギー普及啓発事業を行った。 この東京都市大学が開発した水素エンジンバスは、二酸化炭素などの温暖化物質の排出はゼロで、走行時に排出されるのはわずかなNOxと水だけという極めてクリーンなバスで、一回の充填で約200㎞の走行が可能となっており、平成21年2月に日本で初めてナンバープレートを取得し、現在は世田谷と横浜のキャンパスを結ぶシャトルバスとして活用されているものである。 この実証走行試験に合わせて、室蘭地域において展示試乗会や出前教室など水素エネルギーの普及啓発事業を展開し、延べ684名の方々に試乗いただいた。対象は3小学校、1専門学校、1大学、一般市民とし、小学校では授業の一環としてバスの試乗と、水素の性質や、燃料電池キットカーによる実験などを行った。専門学校と大学では、試乗と東京都市大学の水素内燃機関の研究開発について学ぶことができた。 また、市内ショッピングセンターや室蘭市青少年科学館では屋内展示、屋外展示と試乗会を開催し約200名の市民の方々に試乗いただいた。 さらに、水素エネルギー研究を行っている企業での試乗会や、地球環境問題がテーマとなった洞爺湖サミット開催圏域として水素エネルギー普及啓発を兼ねて洞爺湖ビジターセンター、道の駅壮瞥情報館、伊達市役所でも屋外展示を行った。 平成22年度は、前年に引き続き、11月1日から11月29日まで、室蘭市及び西胆振管内を1,070kmに及ぶ水素燃料エンジンバスの実証走行試験と11月12日から11月29日の期間では617kmに及ぶ水素ハイブリッドトラックの実証走行試験を行い、これに合わせて水素エネルギー普及啓発事業を行った。 水素エンジンバスは、前年の実証走行試験結果を踏まえ、登坂におけるギア比の最適化を図る改造が加えられており、さらに、新たに水素ハイブリッドトラックが開発され、これの全国初の実証走行試験を室蘭にて、地域の食料地域連携部会の3ヵ年の活動について■ 地域連携部会 活動報告室蘭工業大学客員准教授/室蘭市企画財政部企画課主幹 関川 純人学校出前教室の様子連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会128

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