平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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倫理」の開講、実施に当たって中心的な役割を果たした教員を招聘し、東京都市大学の学生への実際の講義をとおして、「技術者倫理」の実施のあり方や具体的な実施方法などを学ぶことを計画している。講義には106名の学生が参加した。通常この科目は、木曜4限に開講している科目であるが、当日は特別に4限に引き続き、5限にも講義を実施した。河合教授は、スライドとDVDを用いた講義を2コマにわたって展開し、実際の事故事例やケーススタディーなどを巧みに利用しながら、授業内レポートに解答を記入させるなど、学生の興味を引く工夫が数多く見られた。また、室蘭工業大学で作成されたケーススタディーのDVDを見せ、その内容に関するレポート作成を課すことにより、教育効果を高めていた。なお、このDVDと、室蘭工業大学で行なわれている講義に関する資料をまとめたDVDが、室蘭工業大学から東京都市大学に提供された。交換講義実施の成果と今後、室蘭工業大学では、通常「技術者倫理」の講義を15週にわたって実施するので、今回、東京都市大学で実施した2コマの講義だけではその全容は把握できないものの、その方針や工夫の一旦を今回も実際に見ることができたことは、今後、東京都市大学で同科目を実施する上で、非常に参考になった。図5に河合先生の講義の様子を示す。室蘭工業大学で作製されたDVD(「技術者の自律-技術者倫理の事例研究-」を見た東京都市大の学生の感想を一部抜粋し、以下に示す(実際には106名分のレポートあり)。・ とても完成度が高かった。見ていて実際にありえそうなことが出ていた。色々と考えさせられる良いDVDだった。・ 思っていた以上によくできていて、ドラマとして楽しめた。また、考えさせられることも多々あり、ためになった。技術者、社会人として誠意ある行動をとることの大切さを感じた。しかし、前述のように、自分がその立場に立った時に誠意ある行動を取れるかというと、様々なしがらみにとらわれ、難しいと思う。・ 最近、リコールが増えているが、裏ではDVDのような状況が起こっている可能性があり、社会に出ると常に技術者倫理を問われる場面に遭遇する可能性があると考えさせられた。・ 非常にリアルに出来ていて面白かった。登場人物の行動もみんな人間味があり、共感できるところが多かったため、見ていて他人事じゃないなと思えた。技術者になるには、このようなジレンマを乗り越えなければならない。そのために、しっかりとした自律を立てておくべきなのだと感じた。宇宙関連分野の講義としては、室蘭工業大学の棚次亘弘特任教授が東京都市大学大学院機械システム工学専攻の1年生のカリキュラムの宇宙システム工学特論Ⅰを1コマ担当し、原子力ロケットの概要と米ソの開発について講義された。交換授業をとおし2大学の教育と研究の実施方法について認識を深められたことが担当教員から報告されている。また、東京都市大学の目黒在教授は、室蘭工業大学大学院航空宇宙システム工学専攻1年のカリキュラムの宇宙機力学特論Bを1コマ担当された。図6に目黒教授の講義の様子を示す。固体物性関連分野については、東京都市大学の鳥居粛准教授が室蘭工業大学大学院応用理化学系専攻2年生対象の電子物性学の1コマを講義され、東京都市大学の桃野直樹准教授が東京都市大学大学院電気電子工学専攻1、2年生を対象とした超伝導応用工学特論の1.5コマを担当された。桃野准教授は超電導の基礎と高音超電導体について説明された。後期の交換授業は、土木工学分野から開始された。東京都市大学大学院都市基盤工学専攻1年生科目の構造工学特論を室蘭工業大学の岸徳光教授が担当され、RC図6 目黒教授の講義の様子連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会167

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