平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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東京都市大学および室蘭工業大学の共通基礎科目(物理、化学、数学)等を担当する教員が共同して基礎教育を支援する教育教材を開発してきた。本年度は、昨年度に開発したベクトル解析とフーリエ級数の学習を支援する立体モデルを使った模擬講義の実施とそれに引き続くFD研究会、および新たな教材の開発(クリアファイルの作製)を行った。ここでは、それぞれについて報告する。平成21年度の事業において、ベクトル解析とフーリエ級数の学習を支援する立体モデルを10セット作製した。本年度は、この立体モデルを使用することによる教育効果の向上を検討するため、模擬講義を実施するとともに、それに引き続いて教育効果等について議論するFD研究会を開始した。図1は模擬講義とFD研究会の実施要項を示す。模擬講義は、東京都市大学の田中康寛教授が担当され、室蘭工業大学の学部学生を対象にして実施された。参加学生数は24名であり、2~3名で教材をシェアすることとなった。また、この模擬授業を20名程度の教職員(東京都市大学からの2名の参加者を含む)が参観した。講義の内容は、(1)ベクトル解析の入り口 –電磁気学への応用-(2)時間領域から周波数領域へ –フーリエ級数の意味-の2テーマであり、(1)では全微分モデルを使用し、(2)ではフーリエ変換モデルを使用した。図2はベクトル解析の模擬講義の配付資料を示し、図3および4は、ベクトル解析の入り口 –電磁気学への応用-、および時間領域から周波数領域へ –フーリエ級数の意味- の講義の様子をそれぞれ示す。ベクトル解析の模擬講義では、電磁気学の電界と電位の関係を例に取り上げ、傾きの概念を説明された。また、最大勾配の説明では、斜面を転がる球を例にしてわかりやすく解説され、図2の演習が指示された。説明ではスライドショーがうまく利用されるとともに、手元にある全微分モデル教材をつかって理解を高める様に工夫されていた。基礎教育支援ツールとして開発した教材であるが、数学のみではなく、専門科目の入り口としても効果が得られることが示された。また、フーリエ級数の模擬講義では、周波数領域の波形の取り扱いの必要性が説明されるとともに、定規を使って周期関数の振幅を求める演習を通して理解を深める工夫がなされていた。模擬授業の後、12名の教員が約1時間にわたり、教材を利用した講義について意見を交換するFD研究会を開催■ 教育研究部会 活動報告 プログラム・カリキュラム小委員会開発教材を使った講義の試験的実施1とFD研究会1教材開発、模擬講義およびFD研究会東京都市大学 工学部教 授田中 康寛室蘭工業大学 大学院教 授佐藤 孝紀室蘭工業大学 大学院准教授桃野 直樹平成22年7月13日東京都市大学・室蘭工業大学 戦略的大学連携支援事業プログラム・カリキュラム小委員会FD研究会〈実施要綱〉東京都市大学・室蘭工業大学 戦略的大学連携支援事業の一環として、標記研究会を以下の要領で開催いたします。皆様、奮ってご参加下さい。日時 :平成22年7月29日(木)14:35~17:30、18:00-20:00場所 :室蘭工業大学 C305講義室内容 :平成21年事業で開発した教材を用い、田中 康寛 教授(機械システム工学科、連携事業 プログラム・カリキュラム小委員会委員長)が講義を実施される。また、東京都市大学および室蘭工業大学の教員が講義を参観し、講義終了に討論会を行う。授業参観と討論会を通して両大学のFD活動の連携を図る。※東京都市大学からは、田中 康寛 教授、大上 浩 教授(機械工学科、全学および工学部教務委員長)、 岩崎 敬道 教授(教職課程、全学FD委員会委員長)が参加されます。図1 模擬講義およびFD研究会の実施要項図3 ベクトル解析の講義の様子(その1)図2 ベクトル解析の演習問題【問題】x方向の傾きが0.4, y方向の傾きが0.3の平面(斜面)がある。この斜面の最大傾斜の方向と傾きの大きさはいくらか?連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会170

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