平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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図5 対策ケーブルの構造図4 点火系に蓄積される電荷のようす(放電電圧波形)とそれによる再放電線に取り付けた抵抗の値を小さくすることが望まれる。一方、高過給下での確実な放電のためには放電電圧を高める必要があり、アース線の抵抗値を高くしなければならない。このことは、従来の対策ケーブルは耐久性に課題を有しているのみならず、高過給下での使用に制約があることを示している。そのため今回は、構造上、電荷を蓄積しにくいC.D.I.(Capacitor Discharge Ignition)方式を採用した。この方式は、従来のフルトランジスタ方式と比較して点火エネルギーが小さいため、失火の発生が課題となる。そのため放電時間の異なるコイルを用いて、点火システムの最適化を行った。図6に失火が発生した点火コイルMP13と最終的に採用した点火コイルMP41の放電電圧を、図7にそれぞれの点火コイルでの最高過給圧を示す。さらにMP41の過給圧を水素エンジンバスと比較したものを図8に示す。C.D.I.方式の採用および点火コイルの最適化により大幅な過給圧向上が可能になったことが分かる。図9に最適化されたC.D.I.方式を採用したエンジンの出力特性を示す。低速トルクはベースエンジンを下回るが、最高出力はベースエンジンであるN04Cディーゼルエンジンの90%以上を確保でき、水素エンジンバスと比較して大幅な最高出力向上に成功した。さらにC.D.I.方式では、点火系はすべて信頼性が保証されている市販の部品により構成されているため、同時に耐久性の課題も解決することができた。(2)水素エンジンの低速トルク向上図10に水素ハイブリッドエンジンの構造を示す。エンジンのフライホイール部に図11に示すようにコイルと永久磁石によりモータ兼発電機が構成されている。これによりエンジン減速時には発電して専用電池に蓄電し、低速トルクが要求される場合にはモータによりエンジントルクをアシストするしくみである。このモータは出力30kW、トルク343Nm、システム効率92%である。なおこのハイブリッドシステムは、図6 C.D.I.方式の点火コイル特性の放電時間に及ぼす影響図7 放電時間の最大過給圧に及ぼす影響連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会181

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