平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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またPt/CおよびPt/C-Ni(salen)のTEM画像を図8に示すが、いずれの触媒でも粒子径分布には大きな変化はないが、Pt/C-Ni(salen)は触媒粒子の分散が顕著に観察された。このことは、Pt/C-Ni(salen)では合金化が進んだことにより熱処理の際におこるPt粒子の凝集が抑制され、熱処理前とほぼ同じ粒径分布が保持されたものと考えられる。また、EDSの結果からNiがPtに対応した高分散状態で担持されていることも確認できた。図9に調製した触媒のXPSスペクトル(Pt4f)を示す。Pt-Ru合金触媒と同様に錯体を用いた触媒ではピークが高エネルギー側にシフトしていることから、リガンド効果によりCO酸化活性が向上したことが示唆された。 このPt-Ni合金化とPt-Fe合金化が進んだ触媒の性能を従来の白金触媒の性能と比べた結果を図10に示す。この結果、Pt/C-Ni(salen)触媒はPt/C触媒より60%の出力向上効果が確認できた。この効果は、図8に示すように触媒粒子の分散化により得られたと考えている。Pt/C-Fe(salen)触媒では出力向上効果は10%にとどまった。3.3 結論・ 有機金属錯体のFeやNiがPtと固溶体となって複合体を形成しており、Ptの合金化が進んだことが確認できた。・ Pt/C-Fe(salen)およびPt/C-Ni(salen)では電子状態の変化が認められ、COおよびメタノールの酸化活性が向上した。・ 有機金属錯体を用いることによってPt微粒子の凝集が抑制され、Ptおよび錯体中心金属が高分散状態で担持されていることがわかった。・ Pt/C-Ni(salen)が最も高いセル性能を示し、出力密度はPt/Cの1.6倍となった。・ Pt/C-Fe(salen)では起電力の向上が認められず、セル性能に著しい向上は見られなかった。図5各触媒の粉末XRDパターン図6CO酸化サイクリックボルタモグラ図7メタノール酸化サイクリックボルタモグラム電解液:0.1MH2SO4+0.1MMeOH図8調製した触媒のTEM画像(a) Pt/C(b) Pt/C-Ni(salen)図10有機金属錯体を用いたアノード白金合金触媒による性能向上効果図9各触媒のXPSスペクトル(Pt 4f)触媒による性能向上効果連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会187

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