平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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4.1 まえがき白金の使用量を軽減した触媒の開発と並行して白金に代わる金属をベースにした電極触媒の開発に力が入れられている。このような卑金属をベースとした触媒を使用する際の大きな障害は、これまでのPEFCでは、電極が強酸性雰囲気となるため電極触媒を含めて電極に使用される材料の腐食である。このことがこれまでのPEFCの開発が白金触媒を中心として進められたもう一つ理由である。この問題を解決するために、電解質膜内の電荷担体をPEFCの水素イオンH+から水酸化イオンOH-とするためにアニオン交換膜を用いるアルカリ膜形燃料電池AMFCの研究が始められている。アルカリ水溶液を用いていた従来のアルカリ形燃料電池AFCと区別するために、AMFCと呼称する。4.2 試料の作製と評価結果AMFC電解質膜として、本学のグループではポリシロキサン構造を主骨格とし、アミノ基を水酸化物イオン伝導経路としたシリコン系のイオン伝導膜を試作し評価した。その結果、0.1mS/cmの導電率と燃料電池出力評価試験による0.76mW/cm2の出力を得ることができた(図11)。膜の構造は図12に示すようにポリジメチルシロキサン構造の末端のエポキシ基がアミノ基と反応し、アミノシランのシリコン原子が他のアミノシランのシリコン原子とシロキサン結合を形成している。水酸化物イオン伝導はエポキシ基-アミノ基結合部位の1、2級アミノ基が水を解離させることで生じている。膜のアミノ基が4級アンモニウム化されておらず導電率が低いが、フッ化炭素系、炭化水素系以外のAMFC用電解質膜として今後の性能向上を図る。 5.1 まえがき新しく開発している中温動作電解質膜や白金使用低減触媒などをMEA化するためには、各々の構成要素素材の物理的化学的物性が従来の素材とは大きく異なるため可能性があるため、MEA化するためには開発する材料に合致した調製手法の開発が必須であり、本プロジェクトの研究開発ではこれを材料の開発と並行して進めている。また、MEA化後の性能劣化の特性を明らかにすることもプロジェクトの目標に設定しているため、この特性把握に関しても同様であり、素材の特性に合致した手法開発が必要である。このために、必要と考えられる電解質膜などの性能・機能低下を診断するための診断法の開発も必須であり、これも材料の開発と並行して進めている。5.2 セミ電極によ るリン酸処理石膏プロトン電解質膜のイオン伝導特性の評価前節で述べたリン酸処理石膏プロトン電解質を製膜し図12 試作アルカリ膜の構造推定図図11 試作膜を用いたアルカリ膜型燃料電池評価試験結果アルカリ形燃料電池用新規電解質膜の開発4MEAの調製と解析・評価手法の開発5連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会188

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