平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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GDLと組み合わせたセミ電極を作製し、単セルに用いているエンドプレートで挟み交流インピダンス計を用いてセルインピダンスとプロトン伝導特性を計測した。セミ電極のサイズは実際に性能評価に用いる単セルにあわせ25cm2(50mm角)とした。リン酸処理石膏プロトン電解質の製膜特性から、現時点では最も薄い場合で100ミクロンであり、図13下図に示すようにGDLと組み合わせたセミ電極状態では目標作動温度である150℃でセルインピダンスが180mΩとなり膜厚が50ミクロンであるNafion212の無加湿作動条件のレベルで、かなり高い値である。また,プロトン伝導率も高い値となっている。この原因は、前項で述べたようにリン酸処理石膏プロトン電解質のプロトン伝導率がNafionに比べて低いためである。また、膜厚を1/2にしてもインピダンス値が1/2にならないことや厚さ方向の伝導率に大きな変化が無いことから、プロトン伝導性以外の抵抗値、たとえば接触抵抗などが高い値を示していることが考えられる。この原因は、膜の柔軟性が劣るため、セミ電極化した際のGDLやエンドプレートとの接触抵抗が伝道特性の計測値に加算されているためであると考えており、MEA化上の課題である。また、測定温度(環境温度)を高くすることによってセミ電極インピダンスが増加しているが、これはナフィオン膜などと同様にリン酸石膏膜が保有している二水和物が、高温化により排出されたためである。 5.3 MEA性能劣化部位診断法の開発PEFCの劣化原因を解明する第一ステップとして性能劣化を示した部位を判定することが必要がある。このために本プロジェクトにおいて、作動中のMEAを非破壊で診断することのできる交流インピダンス法(ACIS)に、分布定数型等価回路(TLM)を組み合わせたTLM-ACISを新たに開発し、MEAを構成する電解質膜、触媒層内電解質および触媒層内の炭素層の機能低下であるインピダンス増加を分離計測できるようにした。この手法は、ACISで測定したNyquist線図に、図14に示す分布定数型等価回路(TLM)を適用して構成パラメータの値をカーブフィッティングによって求める手法である。この手法の特徴は、MEAを構成する主要要素と等価回路構成要素の対応が容易であり、同図に示すように左端が電解質膜、右側要素の上部が触媒層内電解質膜、下部が炭素部を表す。また、同図に示すように触媒層を複数のセグメントに分割することによって、触媒層内厚さ方図14 分布定数型等価回路(TLM)の構成図図13 セミ電極によるリン酸処理石膏のプロトン伝導特性の評価連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会189

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