平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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最後に、塩基として2,6-ルチジンを用い、塩化コバルトを加え、窒素雰囲気下、2時間、加熱還流することでコバルトを配位させ、目的物であるmeso-テトラ(α, α, α, α-2-ピバルアミドフェニル)ポルフィリンコバルト(CoPFP1)を合成した。また、CoPFPにさらにメトキシ基を導入したmeso-テトラ(α, α, α, α-2-ピバルアミド-4,5-ジメトキシフェニル)ポルフィリンコバルト(CoPFP1)も同様の反応により合成した。市販のコバルトテトラフェニルポルフィリン(CoTPP)と芳香族アミン類の錯形成を行うために、窒素雰囲気下クロロホルム2ml中でPBMとともに1時間撹拌し、暗赤色のCoTPP-amine-PBM溶液を得た。今回はPBNに対してCoTPPが40wt%、CoTPPとアミンのモル比が1:4となるように溶液を調整した。次にこのCoTPP-amine-PBM溶液を基盤となるニトロセルロース微多孔膜(直径24mm、孔径25nm、膜厚0.1mm)上に窒素雰囲気中で3回塗布・乾燥を繰り返した。作製した酸素富化膜は透過ガス分析を行う直前まで窒素雰囲気下で保存した。富化膜に0.4MPaの乾燥空気(酸素21%、窒素79%)を供給し、その透過ガスの流量を測定したのちに、ガスクロマトグラフィー(カラム:MS4A、キャリアガス:He)を用いて酸素および窒素濃度を測定した。 研究成果:これらのCoPFPはCoTPPの上から酸素富化膜の表面に塗布することにより、ポルフィリン機能層の表面側にCoPFP酸素濃縮層、内側にCoTPPの酸素運搬層を形成すると期待し、2,4,6-トリメチルピリジンと共存、3回塗布のこれまでの最適条件を用いて、2回はCoTPPを塗布し、3回目にCoPFPを塗布した酸素富化膜を作製した。この富化膜の酸素/窒素のガス透過係数比は2.02であり、かさ高い置換基を持たないCoTPPのみの1.88と比べて、選択的に窒素より酸素を透過することが明らかとなった。また、このときのそれぞれの富化膜の酸素透過係数比は1.43、流量は0.4ml/cm2minであり、これまで作製したものよりも流量を増大することができた。以上のことよりさらに酸素濃縮能を向上した酸素付加膜を作製することができた。今後、さらにポルフィリンの分子構造やアミンの選択を行うことで、より酸素濃縮効率が高く、透過量も多い富化膜を作製できる可能性が見いだされた。Figure 2 Oxygen permeation constant of CoTPP-amine-PBM membraneFigure 2 Preparation of oxygen separate membranes.Figure 1 Analysis of permeation gas through oxygen separate membrane連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会192

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