平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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廃アルミニウムと水からの新規水素製造法の開発室蘭工業大学 大学院 助教 神田 康晴/特任教授 杉岡 正敏■ 教育研究部会 活動報告 研究小委員会化石燃料を使用する際に生成する二酸化炭素(CO2)は代表的な温室効果ガスであるため、その排出量の削減が求められている。そのため、次世代のクリーンエネルギーとして水素(H2)が注目されている。水素の製造法としては化石燃料の水蒸気改質反応が広く行われているが、その過程においてCO2が副生するため、CO2を副生しない新規の水素製造法の開発が望まれている。我々は金属加工時に生じる切削くずなどのアルミニウム(Al)系廃材からCO2を副生せずに水素を得る方法として、Alと水(H2O)との反応による水素製造に注目している。昨年度は主に小型ステンレス反応器でAlと水との水素生成反応を行い、水素の製造が可能であることを見出した。本年度はステンレス反応器を用いたAlと水との水素生成反応のスケールアップと燃料電池システムの作動に必用な運転条件の最適化について検討した。アルミニウムと水との水素生成反応はステンレス製反応装置を使用して行った。反応器には小型反応器(反応器容積:100ml)および一昨年度に試作した大型反応器(反応容器体積:2,000ml)を用いた。なお、小型反応器での反応には、5~30gの粉末状Alを80mlのH2Oを用いた。また、大型反応器での反応には、100gのAl粉末と300mlのH2Oを使用し、廃Alの場合は40g、H2O1,400mlを用いた。また、発生したガスはアクリル製チューブに水上置換方で捕集して体積を測定し、ガスクロマトグラフにより純水素であることを確認した。3.1. 小型ステンレス製反応器を用いたAlとH2OからのH2生成反応図1に小型ステンレス製反応器を用いたH2生成反応の結果を示す。反応温度30℃ではガラス製反応器の場合と同様に長い誘導期の後にH2が生成した。急激なH2発生部分を直線近似し、直線と時間軸との交点を誘導期と定義した。この方法により誘導期を求めると、Al 5g、30℃で反応を行った場合20.0hとなった。次に反応温度と誘導期との関係について検討した結果を図2に示す。反応温度を30℃から60℃まで上昇させることで誘導期は著しく減少するが、60℃以上ではあまり変化しなかった。したがって、反応温度は60℃付近が最適であると考えられる。また、反応温度の上昇により誘導期が短縮された原因は、Al粒子表面に存在する酸化被膜の欠陥部分で水との反応が進行するためと推測される。さらに、Al量が誘導期とH2生成速度に与える影響についても検討したが、Al量が増えても研究の目的1研究成果3研究実施方法2図2AlとH2Oとの反応の誘導期に与えるAl使用量の影響図1小型ステンレス製反応器を用いたAlとH2OとのH2生成反応(1,350rpm)図3H2生成速度に与える反応速度の影響(反応8時間後)連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会199

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