平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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■ 教育研究部会 活動報告 研究小委員会1.1 研究の概要スターリングエンジンは高温部、低温部の温度差を利用して高効率で運転することのできる熱機関である。ディーゼルエンジンなど他の熱機関と異なり、作動流体をエンジン内に封じ込めて熱の出入りのみで運転することができるため、宇宙空間における太陽熱を用いた発電に利用できる可能性がある。現在宇宙用の発電機関としては太陽電池がよく用いられるが、スターリングエンジンは太陽電池と比較しより高い変換効率で運用できる可能性があり、また宇宙放射線に強いといったメリットもある。本研究では過去に宇宙用として開発されたスターリングサイクル発電機を、電気ヒータを熱源として運転しその性能を把握する。本連携研究は平成21年度からスタートし、昨年度は作動流体の違いがエンジン性能に及ぼす影響を調査した。今年度(平成22年度)は発電機に取り付ける負荷抵抗の変化による発電性能の違いに着目して実験を行った。また本年度においては軌道上でこの発電機を運用する際に必要となる蓄熱装置についても装置を製作し実験を実施した。 1.2 連携研究としての位置づけ本研究は東京都市大学と室蘭工業大学の連携研究として実施された。宇宙機の実状に詳しい東京都市大学側の研究者と、スターリングエンジン研究に実績のある室蘭工業大学側の研究者が協力することにより、宇宙用スターリングサイクル発電機研究の活性化を図った。今年度は7月に東京都市大学の目黒教授の訪問を受け、発電機の宇宙での運用方法などに関して意見をいただいた。この他、9月には東京都市大学渡邉講師が北海道登別市で開催された室蘭工大航空宇宙機システム研究センター主催のシンポジウムに参加するとともに本研究に関する打合せを行うなど、年数回の研究ミーティングを開催した。今回の研究では実際にエンジンを運転しての性能取得を室蘭工大が、発電機を宇宙空間で運用する際の運用方法やシステム検討を東京都市大学が担当した。本研究で用いたスターリングサイクル発電機の外観を図1に、その他緒元を表1に示す。本発電機は出力を取り出すためのパワーピストンと呼ばれるピストンが空気ばねにより支持され振動することで発電機を駆動する、セミフリーピストン型と呼ばれるスターリングサイクル発電機である。装置上部に電気加熱によるヒータがあり、これが高温熱源となる。ヒーターチューブの下部には蓄熱式の再生熱交換器があり、さらにその下部に冷却部がある。冷却は水冷による熱交換で行われる。これらの高温部と低温部は中央のディスプレーサシリンダに繋がっており、DCモータによって駆動するディスプレーサピストンが内部の作動流体を高温部と低温部の間で交互に移動させている。これにより、圧力変化が生じ、一対の対向式パワーピストンによってリニア発電機が駆動され、発電する。はじめに1装置概要2図1:スターリングサイクル発電機外観図表1:スターリングサイクル発電機緒元出力200W級幅×奥行×高さ480×370×350 mmディスプレーサDia.×Strokeφ59.5×20 mmパワーピストンDia.×Strokeφ59.5×20 mm表2:運転条件作動流体ヘリウム作動流体圧力1.0MPaA高温部温度230~600℃低温部温度10℃冷却水流量281L/hエンジン回転数10~20Hz 宇宙用スターリングサイクル発電機の研究室蘭工業大学 大学院講師吹場 活佳室蘭工業大学 大学院特任教授 棚次 亘弘東京都市大学 工学部講師渡邉 力夫連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会202

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