平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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図4: スターリング発電機のモデル化式(2)を積分することで系の発電電力を得ることができ、入力電力が90Vの条件でこの解析を行った結果が図5である。B、lなどの値については実験データを用いて類推し、m、k等については実測した値を参考にした。実験による出力値を再現するため、それぞれの値について若干の調整を行った。結果として図5にあるように、実験で見られた負荷抵抗の違いにより発電電力に変化が現れ、ある抵抗値の時に極大値をもつという傾向を再現することができた。このことにより、実験で見られた負荷抵抗の変化に伴う発電電力の変化は式(1)で表されるような強制振動系のもつ特性が原因であることが明らかになった。4.1 蓄熱装置の必要性地球を周回する衛星などでは、日陰時における電力を確保するため何らかの方法でエネルギーを貯蔵する必要がある。一般的には太陽電池との組み合わせでバッテリが用いられるが、スターリングサイクル発電機を用いた場合蓄熱材を利用してエネルギーを熱の形で貯蔵することが可能である。バッテリを用いた場合、単位質量当たりのエネルギー貯蔵量はリチウムイオン電池の場合でも120Wh/kg=432kJ/kg程度である。一方で蓄熱材を用いた場合、蓄熱材が相変化する際の潜熱を使ってエネルギーを蓄えることができ、この融解潜熱はLiF(フッ化リチウム)の場合1,037kJ/kgにも達する。このように、蓄熱材を用いて日陰時のエネルギー貯蔵を行うことで、より軽量なシステムを作り出すことが可能となる。このような背景を踏まえ、本研究では蓄熱材の伝熱特性に関する実験的研究を行う。前述のように蓄熱材としてはフッ化リチウムのような融解潜熱の大きな溶融塩がよく用いられるが、溶融塩は一般的に熱伝導率が低く、使用方法によっては大きな潜熱を十分に活用できない可能性がある。本研究ではこの点に注目し、溶融塩の一種である塩化リチウム(LiCl)と、熱伝導率が高いアルミニウム(Al)を蓄熱材としてその伝熱特性を比較する実験を行った結果を報告する。4.2 実験装置実験装置の外観および概略図を図6に示す。実験装置は円筒形の容器の中央に作動流体を流す配管を配置したものである。円筒容器の底部には熱伝導による放熱を低減するため、熱伝導率の低い(1J/m/K程度)耐火コンクリートが10mm充填されている。この耐火コンクリートの上に蓄熱材を高さ60mm分充填する。蓄熱材としては上述の通り熱伝導率の違いによる伝熱特性を比較するため、アルミニウムと塩化リチウムの二種類を用意した。容器外部に電気加熱式のシースヒータを巻きつけ外部から加図5: モデルによる解析結果蓄熱装置の研究4連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会204

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