平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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熱して蓄熱材を融解させる。ヒータの外側には断熱材としてグラスウールを厚さ約10mm分巻いた。蓄熱材の温度を周方向に5点計測し、時間による周方向に対する温度分布を取得する。この5点の位置は円筒容器の中心軸からそれぞれ5,11,17,23,29mm離れた位置に配置されている。高さ方向位置は蓄熱材上面から30mmである。また作動流体が流れる配管の外径は6.35mm、内径は4.57mmで、入口・出口温度と流量を計測することで蓄熱材から作動流体への熱供給量を取得する。本実験では管内を流れる作動流体として窒素を用いた。4.3 実験結果図7に実験結果の一例として、窒素流の質量流量を0.5kg/sにした場合の蓄熱材から窒素への熱供給量を示す。熱供給量はそれぞれの初期値で無次元化した値で示している。蓄熱材にアルミニウムを用いた場合、熱伝導性能がよく蓄熱材の温度が空間的に一様に保たれるため潜熱を十分に活用することができる。そのため最初の15分間は潜熱により一定の熱供給を行うことが可能となっている。一方、塩化リチウムを用いた場合、熱供給量は実験開始直後から降下し始める。これは熱伝導率が低いため窒素の配管周辺への熱供給が追い付かず、蓄熱材の温度が空間的に勾配をもつことが原因である。このように、蓄熱材を選定する場合は蓄熱性能のみならず伝熱特性についても十分検討する必要があることが明らかになった。本研究では、宇宙利用を目指したスターリングエンジン発電機の運転性能試験の一環として、電気出力に取り付ける負荷抵抗を変化させて実験を行い、発電電力に及ぼす影響を調査した。また、日陰時に発電用のエネルギーを供給する蓄熱材についての基礎実験を行った。結果として以下の結果を得た。(1)実験より、負荷抵抗の違いにより発電電力に変化が現れ、ある抵抗値の時に極大値をもつことが分かった。(2)系をモデル化して解析を行うことにより、上記の現象が強制振動系の特性が原因であることが明らかになった。(3)蓄熱材を選定する場合は蓄熱性能のみならず伝熱特性についても十分検討する必要がある。謝辞本研究を実施するに当たり、室蘭工業大学大学院生塚野徹君、佐藤紘之君、同じく学部生近江信耶君に多大な協力をいただいた。ここに記して謝意を示す。参考文献[1]塚野徹、吹場活佳、棚次亘弘:軌道上での運用を目的としたスターリングサイクル発電機の研究、第54回宇宙科学技術連合講演会講演集3B09(CR-ROM)、静岡、2010図7: 0.5 g/sにおける熱供給量変化率の違いまとめ5図6: 実験装置連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会205

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