平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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松宮 路恵さん、加藤 剛志君 東京都市大学大学院工学研究科生体医工学専攻 笠 拓哉君、亀井 智史君、上林 眞弓さん、菅原 豪太君図1は、本年度あらたに改良したレーザー2波長利用型血流・血液濃度変化同時イメージング法にかかる測定光学系の概略図を示したものである。波長780nmと830nmの半導体レーザーヘッドからの出射ビーム光を生体組織に照射し、その散乱光により形成されるスペックル変動パターンを干渉フィルター、偏光フィルター、結像レンズ系を介してCCDカメラで撮像する。昨年度の実験では、測定ごとに上記光学部品を2チャンネルともにその都度調整していたため、安定性と再現性の低さが大きな障害となった。そこで今年度は、干渉フィルター、偏光フィルター、結像レンズ系を一体化する機構設計を行い、特注により製作した。これにより、2チャンネルの撮像光学軸の調整が極めて簡易化され、動物実験の測定効率が格段に向上した。2チャンネルの画像データをフレームレートで一定の測定時間にわたり同時に保存するための取り込みソフトウェアが平成21年度は正しく動作せず、データ解析に4ヶ月ほど費やしたが、今年度はプログラムを再構築し、良好なデータ取得が可能になった。結果はすでに開発した解析方式により血流(相対速度)と血液濃度変化を画像化する。特に血液濃度は、酸化血液、還元血液、それらの和としての全血液を提示する近赤外分光法に基づいているのが特長である。 以上の改良光学系を用いて、東京都市大学生体医工学科島谷研究室内の動物実験環境にて麻酔下ラットの咽頭部での実験を実施した。図1左下写真に示すように、測定部位を切開して縦に走る総頚動脈を中心とする35×35mm2程度の領域を対象とした。近接して走る迷走神経に電気パルス刺激をすることでほとんど心拍を停止させた状態を10秒ほど設定して血流を変化させる実験を行った。心拍の停止は心電図をモニターすることで確認した。実際の実験にあたっては、室蘭工業大学での事前の予備実験確認、室蘭から東京都市大学への機器発送、当日の機器組み立て・調整と実験準備、測定プロトコル、動物の準備、データ取得、後片付けなど、両大学の学生がすべて主体となって行われた。図2は構成した光学系の様子、図3は東京都市大学と室蘭工業大学の学生による共同実験作業の様子である。測定時間を30秒とし、測定開始10秒後にラットの心拍の調整に関与する迷走神経に2V、500μs、周波数40Hzの電レーザースペックル血流計3図4 麻酔下ラット切開咽頭部の血流・血液濃度変化の時間変動測定結果図5 麻酔下ラット切開咽頭部の血流・血液濃度変化イメージング連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会210

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