平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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気パルス刺激を10秒間与え、刺激停止後にさらに10秒間測定するプロセスで、心電図を同時記録しながら行った。図4に血流および血液濃度変化の時間変動測定例を実験3回分の平均値のプロットと標準偏差をエラーバーで示す。このプロットは後述する図5の画像中の□の領域での平均値である。迷走神経に電気刺激を与えることで心拍が低下し血流が減少するとの予想に対し、血流パラメーターであるSBR値が低下し、電気刺激後に元に戻る傾向がみられた。また、還元および全血液濃度Δ(Cl)もともに減少し、その後に元に戻る傾向がみられた。一方、酸化血液濃度は電気刺激中に増加する結果を示したが、これについては生理学的に理解しにくい現象であり、現時点では、大幅な血液濃度の減少時のデータに対して微小変化を仮定した理論解析式が正しく適用できていない可能性が考えられる。これは来年度以降の新たな課題である。次に、図5に血流、血液濃度変化の解析画像結果の一例を示す。上段から、血流、酸化血液、還元血液、全血液濃度である。3種の代表的状態として刺激前の正常時、電気刺激中、刺激停止後のイメージを取り上げているが、□で示した総頚動脈部位の刺激中の変化が図4の結果と良好に対応した画像として観察される。図6(a)は、今年度新たに血流の拍動性を解析するために開発した時間変動血流パラメーターRSD値の解析結果の例である。血流と同時に記録した心電図の結果を(b)に示す。(a)、(b) を比較すると、0~10秒ならびに20~30秒の時間帯においてRSD値と心電図のパルスのピーク位置が良く一致しており、さらに(b)の心電図でパルス波形が消失している10~20秒の時間帯では心拍がほぼ停止していると考えられるが、その状態での(a)のRSD値が明確に低下していることが分かり、両者は極めて良好な対応を示している。以上より、新たな解析法により心拍に起因する血流変動や心拍停止による血流低下が良好に計測できることを確認した。光伝搬モンテカルロシミュレーション法を活用することで、生体皮膚組織を層状に仮定したモデルに対して光の伝搬を計算することができる。平成21年度の結果に基づいて検討を進めた結果、光が組織へ侵達する過程で、どの深さにおいてどの程度のエネルギーが残存するかという実利用の際に重要なデータを新たに解析する手法を開発した。図7は皮膚組織を9層構造にモデル化した上で光伝搬モンテカルロシミュレーションを行い、波長400~900nmの範囲で縦軸に深さを、その際の残存エネルギー(%)を擬似カラーで図6 (a)麻酔下ラット咽頭部の総頚動脈血流データRSD値、(b)心電図図7 皮膚組織深さに対する光侵達とエネルギー残存率生体組織への光の伝搬特性4連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会211

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