平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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「ヨーロッパ語学研修」は、室蘭工業大学国際交流センターによる主催で、クラウゼ=小野・マルギット准教授によるイニシアティブのもと、昨年に引き続き実施されたプロジェクトであり、5年ほど前にも1度実施されている。断片的であった実施から、定期的な取り組みへと本格化させようとする段階にあり、それ故に、今回の内容・旅程自体も、様々な試みを採用し、活気ある雰囲気のなかにあった。こうした意欲的な気運のなかへ、東京都市大学の学生・教員が同行できたことは、学生個人の経験のみならず、教員としても、カリキュラム設計や国際交流活動の指針など、より大きな視座にたった問題意識を、その萌芽段階で共有でき、大変有益なものであった。総勢22名(学生:室蘭工業大学11名、東京都市大学8名、教員1名ずつ)の参加であった。この研修の大きな特徴とは、ドイツのNGO団体であるEurope Student Projectとの連携にあるだろう。政府からの予算援助を受けている団体であるESPは、国際交流や青少年教育を目的とし、講師派遣やスタディーツアーの企画を行っている。ヨーロッパならではのボランティア精神を背景にしながら、コンパクトな運営と細やかなツアー展開が可能になっている。大学間の交流というスタイルではなく、こうした市民団体と教育という組み合わせによって、学生たちはヨーロッパの生活をより身近に体験することができた。宿泊はすべてユースホステルを使用し、移動は大型バン3台で行った。昼食はユースホステルのバッフェから、各自パンとハムをお弁当にし、リンゴ1つと一緒に紙袋へ入れて外出する。この研修のすべては、ヨーロッパの遠足を彷彿とさせるようなスタイルで、移動や宿泊の形態は非常にカジュアルであったが、それがまた旅の一つの面白さとなっていたようである。研修自体は、ヨーロッパ各都市を見学と、英語研修との2部構成になっている。都市見学は、各所で、講師による英語での解説が加えられ、各自の関心にそって自由行動を行う。ドイツの都市のみならず、ヨーロッパ大陸である地の利を活かし、チューリッヒやストラスブール、プラハなど、国境をものともしない旅程に、参加学生たちは素直に驚いていた。今回の研修の拠点となるのは、ツウィッカウ近郊のリヒテンシュタイン・ユースホステルで、英語研修はここからツウィッカウの教室へ向かう形で45分のレッスンを合計28回行った。ツウィッカウでの英語研修のみならず、ヨーロッパで英語を使ってみることに、学生たちは当初多少のためらいがあったようであるが、ヨーロッパの大都市にいくと、店員さんや往来にいる市民の人々が、英語で話しかけて普通に対応できることを、実際に体験できたことは、彼らにとって、英語を発信するというプロセス(つまり、英語を話すという行為)において、静かであるが大きなターニングポイントになったようである。一方で、ドイツの地方都市に滞在した際は、英語が通じずに歯がゆい思いもしたことで、「伝えたい」という意欲がとても刺激されていた。マルチリンガルな環境に身を置くことで、「英語がわからない」というコンプレックスばかりに圧倒されることなく、英語がわかる便利さと、分からなくても何とかなるという気楽さの両方を体験していた。この研修の出発日が、両大学の学生たちの初対面であったが、それまでに事前の情報交換をMoodleを使用して試みることができた。もともとは、e-LearningのためのシステムであるMoodleが、室蘭工業大学内のサーバーで運営されており、そのなかの1コースとして、この研修のサイトが設置された。ここに、東京都市大学の学生たちもユーザー登録させてもら海外研修の実施 ヨーロッパ語学研修 報告書東京都市大学 知識工学部 助教 杉本 裕代■ 教育研究部会 活動報告 学生交流・支援小委員会プログラムの特徴1国際語として英語を使う3Moodleを使用した交流4研修のスタイル2連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会223

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