平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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2本連携事業推進の3年間を振り返り東京都市大学(旧:武蔵工業大学)と室蘭工業大学が共同で推進した文科省戦略的大学支援事業は、3段階からなる10年間で計画されました。戦略的大学連携事業期間(平成20~22年度)、自立型連携事業期間(平成23~26年度)、連携効果の現出期間(平成27~29年度)の各期間に分けられています。このうち最初の初めの3年間である戦略的大学連携事業期間にのみ、文科省事業補助金が配分されます。月日の経つのは速いもので、平成20年度から始まった支援事業期間の最終年度が終わろうとしています。いよいよ、平成23年度からは自立型連携事業期間に入ります。これからは、大学自身の予算で事業が遂行されます。今後とも本戦略連携事業を自立/発展させるためには、申請準備段階から関係者で議論し、合意した基本理念を再確認し、推進して来た連携事業の内容を総括したうえで、次年度以降の事業計画を立案する必要があります。そもそもの始まりは「水素エネルギーを利用した環境と交通シンポジウム」(室蘭市、平成19年2月21日開催)での中村英夫学長の基調講演、さらに、同年9月8日に同じ室蘭市で開催された「地域再生フォーラムin室蘭」(室蘭市、平成19年9月8日開催)での水素利用技術による地域再生の可能性の議論でした。これら2つのイベントを契機に、武蔵工業大学及び室蘭工業大学間で、平成19年12月に両大学間で包括連携協定が締結されて公式に交流がスタートしました。包括連携協定を単なる「親善協定」に終わらせることなく、実のある連携にしようという気運が高まったとき、取り組み内容に合致する文科省支援事業がスタートすることになりました。申請書を作成するにあたり交流スタートの経緯から「水素」をキーワードに申請内容を予定していました。しかしながら、文科省の担当窓口に本連携支援事業の趣旨をお聞きすると「どうも、この連携支援事業はもっと大きな枠組み、まさに包括的な連携」を目指した支援事業との確信に至りました。そこで、両大学関係者で意見交換してたどり着いた基本理念は、①私立と国立の連携、②事務局も連携の主体、③室蘭市という地域との連携、という考え方です。私立と国立という全く文化が違うものを融合させたら、新しいものが生まれるかもしれない、そして、裏方のイメージが強い事務局に主役の一翼として能動的に参加/活動させたい。どうやれば、大学が地域振興に貢献できるか?このような、壮大な理想をもとに申請書を作成しました。実際に事業を遂行するには人と組織が必要です。岸徳光教授(室蘭工大)を始めとするキーパーソンの存在で事業推進は可能であったと思います。室蘭市にも、両大学事務局にも、両大学教員にも、人を得た幸運に感謝しています。これらの人々で連携事業実施体制を構築することができました。さて、連携事業内容ですが、各部会の下に小委員会を設置して具体的な事業計画の立案し、遂行しました。教育面では、連携講義や教育教材共同開発を実施しました。連携講義は当該分野を研究している教員を中心に相手大学で講義や講演を実施しました。実施された科目は都市大側の原子力関係や内燃機関関係、室工大側ではロケット関連などです。それ以外にも大学院授業などの講義の一部を分担した形で連携授業が行われました。北海道での農業体験実習科目は、都市大の学生にとっては、極めて教育効果が大きかったようで、学生のレポートの驚きや感動が素直に綴られていました。 協同開発された教育教材は機械学会年次講演会の教育部門で発表されました。さらに、FD活動についても両大学間で情報交換を行い、それを自大学のFD活動にフィードバックし、教育効果の向上に役立てています。 いずれも、次年度以降の自立型連携期間でも、なお一層推進していきたいと考えています。研究活動に関して、水素社会の実現に必要な要素研究テーマを中心に、まずは両大学間でのパートーナ探し、相手先の紹介、研究資金の配分などによって、共同研究をスタートさせました。次段階では、科研費等の外部資金2

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