平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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4─1 バス用水素エンジン供試機関には、日野自動車製直噴4気筒過給ディーゼルエンジンをベースエンジンとして使用した。このエンジンを水素燃料で運転するために、以下の改造を施した。(a)軽油燃料噴射弁の廃止および点火栓の装着(b)吸気マニホールドに天然ガス用噴射弁とスロットルバルブを追加(c)圧縮比の18から11への変更図1に、燃料を軽油から水素に変更した場合のエンジン出力特性を示す(J05H2)。グラフにはベースエンジンJ05Dの出力特性と、車両諸元から算出した最低限必要とされる出力特性を水素エンジン開発目標地としてあわせて示した。図より、燃料を軽油から水素に変更したのみでは、エンジン出力が大幅に低下していることが分かる。図2にこのときの過給圧と体積効率(ηv)を示す。過給圧の増加により出力向上が期待できるが、同時にバックファイアが発生したため十分に過給圧を上げることができず、出力は低いレベルにとどまった。図3にバックファイア発生時の点火系の残存電圧を示す。燃料を水素とした場合、ガソリンと比較して燃焼室内の電離度が低いため放電が十分に行われず、点火系に電圧が残存してしまうようすが観察される。さらにこの電圧により、次の吸気行程で燃焼室内の圧力が下がり放電しやすい条件が揃ったために再放電が起きていることがわかる。このときエンジンでは吸気弁が開き、混合気を吸入中であるため、再放電により火炎が吸気管に戻ることになる。これによりバックファイアが発生していることがわかった。ここで出力向上のため過給圧を上げることは、点火栓の放電をさらに困難にし、残存電圧を増加させることになる。そのため図1において過給圧をあげた際にバックファイアが発生したものと考えられる。この対策のため点火系に残存した電圧を接地することが図1 J05Dエンジンの燃料を軽油から水素に変更した 場合のエンジン出力特性図2 水素燃料使用時の過給圧と体積効率図3 バックファイア発生時の点火系の残存電圧図4 対策ケーブル連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会43

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