平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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できる対策ケーブルを製作し使用した。図4に対策ケーブルのしくみを示す。これにより過給圧の増加すなわちエンジン出力の向上に成功した。図5にバス用水素エンジンの最終性能を示す。対策ケーブルの採用により、当初、開発目標とした値を満足するエンジン出力を得ることに成功した。4─2 水素エンジンバス図6に水素エンジンバスの水素燃料系統図を示す。燃料タンクには燃料電池車で実績のある容積74L、圧力35MPaの高圧タンクを採用し、これを6本搭載した。これは熱量換算で軽油47L分に相当し、一充填あたり200kmの航続距離の確保をめざした。また高圧タンクからエンジンの燃料噴射弁までの配管についても、燃料電池車のそれを参考にし、新・道路運送車両の保安基準別添100「圧縮水素ガスを燃料とする自動車の燃料装置の技術基準」に適合するように配置した。タンク内の高圧水素は、減圧弁により2段階に減圧されてエンジンに供給されるしくみになっている。図7に水素エンジンバスにおける水素タンクおよび燃料装置、水素漏洩検知器の概略配置図を示す。車両は隔壁により、燃料タンクが設置される容器室、および客室、エンジン室の三つに分けられている。各室には水素漏洩検知器が設置され、水素の漏洩が検出された場合には、タンクおよび水素供給配管の2箇所に設けられた遮断弁により自動的に水素の供給が遮断されるしくみになっている。さらにこれと同時に、運転手は、漏洩警報機および警告パネルにより水素漏洩を音と視認により確認できるようになっている。また各室とも、漏洩した水素を大気中に解放するため、各室最上部に通気孔を有している。4─3 排ガス性能水素エンジンバスの排ガス性能を表1に示す。上段に示すポスト新長期規制の値を触媒なしで大幅に下回っていることが分かる。窒素酸化物(NOx)は規制値の3%、一酸化炭素(CO)は検知できず、ハイドロカーボン(HC)は10%にとどまった。ここで、燃料に炭素(C)を含まないにもかかわらずハイドロカーボンが検知されたのは、エンジンのピストン周りの潤滑に使われたオイルが燃焼室に入り込み、燃焼した際に発生したものと思われる。図6 水素エンジンバス燃料系統図表1 水素エンジンバスの排ガス性能図5 バス用水素エンジン最終性能連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会44

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