平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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4─4 平成20年度まとめ平成20年度は、バスとして実用上十分と思われる性能を有する水素エンジンを搭載した車両の開発に成功した。開発された水素エンジンバスは、水素燃料系を定める法規および車両排気規制を満足し、ナンバーを取得することができた。平成21年度は、前年度に製作した水素エンジンバスを用いて室蘭市において公道走行による実証試験を行った。これにより水素エンジン実用化における課題を明らかにした。さらに日野自動車株式会社殿の環境試験室を借用し、寒冷地で使用した場合に予測される課題の検出を行った。その概要を以下に示す。5─1 実証試験概要室蘭市における実証試験では、市街地のほか登坂などを含む幅広い運転条件が要求されるコースが選定された。おもな運行コースを図8に示す。試験は平成21年10月19日より11月14日の約1ヶ月間をかけて行われた。この間に水素エンジンバスは1,025kmを走行している。またこのときの平均燃費は10.5km/kgであった。以下に走行中に検出された課題を示す。(1)低速トルク不足 水素エンジンバスの発進性および登坂性が悪いとの指摘があった。図5に示すトルクカーブより、本水素エンジンは低速トルクが細いことが分かる。このことにより発進性および登坂性が悪かったものと考えられる。(2)点火ケーブルの耐久性 水素エンジンバスでは図4に示す対策ケーブルを使用している。これはプラグケーブルを抵抗を介して接地することにより残存電圧の発生を防ぎ、不適切な時期に発生する再放電を防いでいる。この高電圧が作用するアース線の耐久性に問題があることがわかった。図9に劣化した対策ケーブルの様子を示す。アース線と抵抗の接続部に変色が発生していることがわかる。5─2 環境試験室試験概要水素エンジンバスを寒冷地にて使用した場合に予測される課題を検出するため、日野自動車株式会社殿の環境試験室を借用し、低温時始動性の確認およびその他問題点の検出を行った。試験は所定の温度に冷却した室内で車両を十分冷却した後、始動性確認し、続けて長時間アイドリング運転を行った。これにより検出された課題のうち主要なものを以下に示す。平成21年度成果概要5図8 試験走行の範囲図7 水素タンクおよび燃料装置、水素漏洩検知器の概略配置図連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会45

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