平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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雰囲気温度―10℃では常温時と同等のクランキング時間にて始動が可能であった。しかしエンジン吹け上がり不良が観察された。これは約4分の暖機運転にて正常化された。雰囲気温度-15℃以下ではエンジンは始動不可能であった。この原因は三つに大別される。一つは燃料供給用のレギュレータバルブの作動不良である。当該バルブのメーカ保証温度は-10℃であるため、バルブの保温等の対策が必要であると思われる。二つ目の原因はブローバイガス流路の凍結による閉塞である。エンジンのブローバイガスは図10に示す経路で吸気管に戻されている。この配管内に水素燃焼により発生する水分が凍結し、配管の閉塞が発生した。当該部の閉塞はエンジンクランクケース内圧の上昇によるオイルシール不良を引き起こすため、対策が必要である。配管の保温等を検討する必要があることが分かった。最後に寒冷地運転に対し、燃料噴射量および点火時期がアンマッチであることが推測された。現在使用しているエンジン制御地に寒冷地マップを追加する等の対策が必要であると思われる。5─3 平成21年度まとめ平成20年度に開発された水素エンジンバスを供試し、室蘭市にて公道走行による実証試験を行った。これにより水素エンジンバスの有する実用上の課題が、低速トルク不足および対策ケーブルの耐久性であることが分かった。また環境試験室試験により、寒冷地にて水素エンジンバスを使用した場合、気温-10℃までの使用に耐えられることが分かった。これ以下の雰囲気温度下での使用のために、耐寒性が不足する部位の保温が必要であることがわかった。平成22年度は、平成21年度に明らかにされた課題のうち、低速トルク向上および点火系の耐久性向上に取組んだ。さらに水素エンジンの活用範囲を商用車全体に広げるため、トラックにも適用可能な高出力水素エンジンを目指した。すなわち低速トルク向上のみならず最高出力の向上にも同時に取組んだ。対策案を盛り込んだ車両を製作し、実証試験によりその効果の確認をおこなった。6─1 対策の方針水素エンジンの低速トルク不足の改善のため、電気モータにより低速トルクをアシストするハイブリッド方式を採用することとした。また最高出力向上のため、さらなる高過給化平成22年度 成果概要6図11 点火コイル特性の放電時間に及ぼす影響図9 劣化した対策ケーブル図10 ブローバイガスの経路連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会46

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