平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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ックとして十分な出力を有していたものと考えられる。燃料フル充填時の走行距離は最大120kmであった。これは宅配便等の一日あたり最大走行距離が約100kmであることを考えると、十分な航続距離であると思われる。現在の荷室容積を維持したままで最大8本までの高圧タンク搭載が可能であるため、水素ハイブリッドトラックは航続距離200km程度までの用途に対応できるものとおもわれる。6─7 平成22年度まとめ平成22年度は、平成21年度に明らかにされた課題のうち、低速トルク向上および点火系の耐久性向上に取組んだ。さらに水素エンジンの活用範囲を商用車全体に広げるため、トラックにも適用可能な高出力水素エンジンを目指した。低速トルクは電気モータでアシストするハイブリッドシステムの活用により、大幅な性能向上に成功した。また点火系にC.D.I.方式を採用することで、点火系の耐久性向上とエンジンの高出力化を同時に達成することができた。これら方策を盛り込んだ水素ハイブリッドエンジンは、ベース車両と比較して遜色ない出力およびトルクを示した。このたびの三年間にわたる室蘭工業大学と東京都市大学の戦略的大学連携支援事業の支援により、水素自動車の実用化に関する研究を飛躍的に進歩させることができた。水素エンジンバスの開発、室蘭工業大学のご協力を得て実現した当該車両の実証試験とこれによる課題の明確化、さらに水素ハイブリッドトラックの開発による対策案確立を通じて、商用車用の代替機関として提案することができる水準にある水素エンジンの製作に成功した。また本研究に携わった学生達にとっては、環境に対する工学的取り組みの一端に触れることができた点、エンジンの研究から車両製作に至る過程のなかで工学部の学生に要求されることがらを知ることができた点、さらに他大学との交流によりさまざまな組織体のあり方を体験できた点で、得ることが多かったのではないかと考える。今回の事業により得られた成果および大学間連携を活用し、今後は水素エンジンの実社会での活用可能性の検討および信頼性向上について検討を行いたい。まとめ7図17 水素ハイブリッドトラックの構造表2 水素ハイブリッドトラックの排ガス性能連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会49

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