平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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東京都市大学と室蘭工業大学との戦略的大学連携支援事業において、研究小委員会が取り上げた研究課題である、水素エンジン搭載バスの実走行と水素エネルギー研究では、平成20年度と21年度に、次世代要素技術研究という研究グループ名称で、連携事業期間中に両大学の共同研究課題になり得る可能性のある研究課題を取り上げ研究を実施した。東京都市大学で取り上げた研究課題は以下の項目である。 (a)低NOx高出力直接噴射水素エンジンの研究開発 (b)低温型固体酸化物形燃料電池(SOFC)用電極の開発 (b)廃鉄材料からの水素製造研究2.1 研究のスコープ坂道の多い室蘭における水素エンジンマイクロバスを走行させる実証試験に使用する目的で、出力を向上させたエンジンの先行開発として本研究を実施した。平成20年度の開発目標は、筒内高圧直接噴射による高出力とNSR(NOx吸蔵還元)触媒によりNOx排出を概ねゼロとすることのできる技術開発を行うことであった。これに対して、平成21年度にはNSR触媒などの排気後処理システムを用いないでもNOxを大幅に低減できる新しい燃焼方式を見出すことができ、PCC燃焼(過濃混合気塊点火燃焼コンセプト;Plume Ignition Combustion Concept)と命名した。2.2 4気筒エンジンと高応答高圧噴射弁の開発と排気後処理によるNOx低減技術開発(平成20年度)本プロジェクトで開発した水素エンジンシステムは、GVWが4トンのマイクロバスを走行させる計画で、排気量4.7Lの直列4気筒ターボディーゼルエンジン(日野J05D-TC)をベースに、自然吸気としたほかピストンの燃焼室形状は皿型、圧縮比は12.7に変更した。エンジンシステムの構成を図1に示す。水素エンジンの課題であるバックファイアの発生を防ぐことと、ガスエンジンの宿命である低出力化を極力押さえるため、最大20MPaの噴射圧力が可能な筒内直接高圧水素噴射方式を採用した。この噴射弁システムは、本プロジェクトの一環で東京都市大が独自に開発した(図2)。コモンレール油圧駆動ニードル噴射弁方式を採用し、最大20MPaまでの高圧で噴射することができることと、高速応答を可能としたことである。噴射期間30度CAで最大必要燃料量を燃焼室に噴射することができ、噴射時期と期間の制御は、コモンレールにより噴射弁に供給している駆動油のスピル量と時期の制御により行った。多段噴射も可能な高速度応答性能を有している。図3に開発した4気筒エンジンの出力性能を示す。開発目標値を超える最大トルク400Nm、最高出力104 kW/2,800rpmを達成した。■ 教育研究部会 活動報告 研究小委員会水素エンジン/燃料電池/水素製造次世代要素技術課題解決東京都市大学 工学部 特任教授 高木 靖雄/教授 永井 正幸/教授 小林 光一教授 宗像 文男/准教授 山根 公高/准教授 江場 宏美技術開発のスコープ1低NOx高出力直接噴射水素エンジンの研究開発2図3 開発した4気筒エンジンの出力性能図1 4.7L 4気筒エンジンシステム図2高応答高圧噴射弁連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会50

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