平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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またPt/CおよびPt/C-Ni(salen)のTEM画像を図12に示すが、いずれの触媒でも粒子径分布には大きな変化はないが、Pt/C-Ni(salen)は触媒粒子の分散が顕著に観察された。このことは、Pt/C-Ni(salen)では合金化が進んだことにより熱処理の際におこるPt粒子の凝集が抑制され、熱処理前とほぼ同じ粒径分布が保持されたものと考えられる。また、EDSの結果からNiがPtに対応した高分散状態で担持されていることも確認できた。図13に調製した触媒のXPSスペクトル(Pt4f)を示す。Pt-Ru合金触媒と同様に錯体を用いた触媒ではピークが高エネルギー側にシフトしていることから、リガンド効果によりCO酸化活性が向上したことが示唆された。 このPt-Ni合金化とPt-Fe合金化が進んだ触媒の性能を従来の白金触媒の性能と比べた結果を図14に示す。この結果、Pt/C-Ni(salen)触媒はPt/C触媒より60%の出力向上効果が確認できた。この効果は、図12に示されたように触媒粒子の分散化により得られたと考えている。Pt/C-Fe(salen)触媒では出力向上効果は10%にとどまった。3.2.4 結論● 有機金属錯体のFeやNiがPtと固溶体となって複合体を形成しており、Ptの合金化が進んだことが確認できた。● Pt/C-Fe(salen)およびPt/C-Ni(salen)では電子状態の変化が認められ、COおよびメタノールの酸化活性が向上した。● 有機金属錯体を用いることによってPt微粒子の凝集が抑制され、Ptおよび錯体中心金属が高分散状態で担持されていることがわかった。● Pt/C-Ni(salen)が最も高いセル性能を示し、出力密度はPt/Cの1.6倍となった。● Pt/C-Fe(salen)では起電力の向上が認められず、セル性能に著しい向上は見られなかった。4.1 研究の背景新しく開発している中温動作電解質膜や白金使用低減触媒などをMEA化するためには、各々の構成要素素材の物理的化学的物性が従来の素材とは大きく異なるため可能性があるため、MEA化するためには開発する材料に合致した調製手法の開発が必須であり、本プロジェクトの研究開発ではこれを材料の開発と並行して進めている。 4.2 リン酸処理石膏プロトン電解質膜のセミ電極化による プロトン伝導特性の評価(平成22年度)前節で述べたリン酸処理石膏プロトン電解質を製膜しGDLと組み合わせたセミ電極を作製し、単セルに用いているエンドプレートで挟み交流インピダンス計を用いてセルインピダンスとプロトン伝導特性を計測した。セミ電極のサイズは実際に性能評価に用いる単セルにあわせ25cm2(50mm中温作動化MEAの調製法の検討4(a) Pt/C (b) Pt/C-Ni(salen)図12 調製した触媒のTEM画像図13 各触媒のXPSスペクトル(Pt 4f)連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会61

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