平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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確認された。アミンの構造の違いによりアミンのコバルトへの配位状態が変化し、酸素の結合—解離速度に影響を与えたと考えられる。また、このときの透過ガス流量は0.05〜0.2ml/(cm2min)であり、これまで使用していた4-ヒドロキシメチルピリジンの場合(0.01ml/(cm2min)よりも大きいことが確認できた。この透過ガス流量はコバルトポルフィリンと錯形成した際のクロロホルム溶媒への溶解性が変化することで、支持膜表面に塗布した溶液の液膜の厚さが異なったため乾燥後の機能層の厚さが変化したことで生じたのではないかと推定された。また、ガス透過測定装置を用いて、これらの富化膜のガス透過係数を酸素と窒素について行ったとき、酸素/窒素比はもっとも酸素濃縮能の高い付加膜では酸素の透過係数PO2は2.70×10-8(cm3(STP)cm/(cm2ScmHg)であり、窒素の透過係数PN21.68×10-8(cm3(STP)cm/(cm2ScmHg)との比は4.1(O2/N2)程度ということが明らかとなった。以上のことから、市販のコバルトテトラフェニルポルフィリンと芳香族アミン、ポリブチルメタクリレートを混合、塗布することで簡便に酸素富化膜が作製できた。平成21年度は20年度に引き続き、成膜条件(CoTPP−アミン混合比、基盤膜の種類、塗布量など)の検討を行った。前年度までは膜に強度を持たせるために混合するポリマーにポリブチルメタクリレート(PBM)を用いていたが、ポリオクチルメタクリレート(POM:(Mn:2.9×10-4、Mw/Mn: 1.6)を用いることで、より強固な機能層を持つ分離膜を作製できることが明らかとなった。POMの合成はPBMと同様の反応によって行った。さらにPOMを用いることで、気体透過速度も0.04ml/cm2minと向上することができた。混合するアミン類の量はポルフィリンに対して、8倍以上加えるとその酸素濃縮能が低下することも分かった。このことは過剰のアミンによりコバルトがポルフィリンと錯形成できなくなり、酸素と結合できなくなったためと推定された。以上のことより溶液濃度、混合比を検討することにより、より高い流量を保持したまま酸素濃縮を効率良く行う酸素富化膜を作製できる可能性が見いだされた。また、コバルトポルフィリンとアミンの錯形成の結合の違いの推定から、これらのポルフィリンをカーボンナノチューブ表面に存在させることで燃料電池の非白金系電極を高性能化できる可能性が見いだされた。平成22年度はさらに酸素濃縮能を向上させるため、かさ高い置換基をもつピケットフェンスポルフィリンを合成した。Scheme 2 Synthesis of poly(octylmethacrylate)entryfunctional layerflow rate(ml/cm2min)O2b)Conc. (%)∆O21bare membrane500 21.0 0 2POM 0.80 21.0 0 3CoTPP+POM0.40 21.5 0.5 a) The upstream air pressure was 0.4MPa gauge and the downstream was atomospheric presssure, [CoTPP]:35.8 mmol/L,40wt%.The coating was 3times. b) The upstream air (O2:N2=21:79), the permeated gas was determined by GC(column: MS4A, carrier gas: He). Table 2 Oxygen permeation through CoTPP-amine-POM complex coated membranesa)a)連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会68

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