平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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2.4. コンポジット電極の酸素カソード特性の評価試験CNTコンポジット電極の特性は、サイクリックボルタンメトリーにより酸素還元反応の全体的挙動を把握し、ダイナミックインピーダンス法および複素インピーダンス法により電極/電解質の界面容量測定による酸素吸着過程の役割および反応特性の等価回路的考察による反応機構を定量的にそれぞれ検討した。また、酸素の電極表面への拡散の制御が可能な回転電極法(RDE)を用い、各コンポジットの触媒活性を評価および反応電子数の決定を行い、還元反応の動特性を把握した。電解質溶液には電極触媒系にもたらす問題が酸性系電解質よりより少なく効率の良い1mol dm-3KOH水溶液を、参照電極には銀/塩化銀電極、対極には白金線をそれぞれ用い、23℃で測定した。なお、試験電極は、TiO2/CNT電極についてはキャスト法、他の電極については電気泳動法によりグラッシ−カーボン上に成膜したものである。これら試験極は、Fe(CN)63−/4−レドックス反応の複素インピーダンス挙動から電子移動および界面容量特性を求め、電極の有効面積評価に活用した。2.5. コンポジット電極のキャラクタリゼーション:合成したCNTの幾何学的形および化学的状態はSEMおよびラマン分光法により観察し、また、CNTの純度、コンポジット形成の有無、組成は、ダイナミック−TG法を中心に顕微ラマン分光法も併用して行った。2.6. 無加湿中温型固体高分子形電解質膜 (ポリベンズイミダゾール:PBI)の合成PBIは無加湿中温下で運転できるため、現状のナフィオン®膜電解質系FCが持つ非白金系触媒の選択自由度、電極触媒の安定性、水管理システムの排除などの問題を克服でき、さらに運転温度が高いため燃料電池の高効率・高性能化が期待できる。3,3’-ジアミノベンジジンとイソフタル酸を不活性ガス雰囲気下、200℃で重合反応させPBIを合成した。これを十分洗浄後、真空乾燥し、高温高圧化でDMAcに溶解させPBIイオノマーを得た。このPBI溶液を自動塗工装置によりガラス板上に展開し、乾燥させてPBI膜を得て、これにリン酸をドープした。所定のドープ条件下で得られた膜の伝導特性を中心に所定ガス雰囲気下で測定した。2.7. H2-O2燃料電池特性固体高分子形燃料電池を作製し、電池特性(放電特性と電力特性)およびインピーダンス特性を検討した。また、これを利用した燃料電池系/水素吸蔵・放出系/水素製造系のシステム化も行った。3.1. pristine電極の酸素還元挙動 熱分解CVD法および気相触媒流動法により作製した試験pristine電極系の酸素カソード還元特性は、どれも−0.2〜−0.4V vs Ag/AgClの電位領域に、通常、導電材や結着剤を用いた場合には見られない明瞭かつ鋭い酸素還元ピークを示し、CNT自身が酸素還元触媒能を有することがわかった。特に、廃タイヤ抽出油から作製したCNT電極は、エチルアルコールを炭素源としたCNTのようにフォレスト密度が高い垂直配向性を示さないが、図4(a)の電流—電位曲線からわかるように大きな還元ピーク電流値を与える興味深い電極触媒材料であることが判った。そのCNTの純度はダイナミック−TG解析から80%以上あるため、ラマンスペクトルの低いIG/ID値(〜0.7)から欠陥の多い多層CNTであることが理解される(図4(b))。3.2. コンポジットの膜電極化 試験に供するMe-PPy/CNT、Me-Phc/CNTおよびTiO2/CNT、Ln2O3/CNT、LnXSr1-XCoO3/CNTコンポジット合成に対する分散液あるいは前駆体分散液の調製は、酸素電極の高性能、高品質化のみならず性能の再現性達成のためにも重要であり、これらのインク調製法を確立することができた。研究成果3連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会72

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